第9話 結局、どのシーンを読みたいかは、読者の好み次第だよね
小節という物は、どのシーンをどの程度のボリュームで見せるかを作者に一任されたメディアである。そして、これこそが大問題なのだ。
読者によっては、オイシイシーンだけをさっさと読みたいという人もいれば、より深く物語の世界に浸りたいという人もいる。そして、作者のさじ加減でこの両方の要求を同時に叶えるのは、まず不可能だ。
にも関わらず”このシーンは余計だから省け”だの”このシーンは描写が足りない”だのと、やいのやいのと言われてもどうにもならない。自分に着いて来る読者の最大公約数に合わせるのが合理的だが、それを調査するのも一苦労する事だろう。
この問題に対し最近では、オイシイシーンを数珠繋ぎにして取り合えず読者離れを防ぐのが流行だが、それにばかりだとドラマがスッカスカになってしまい物語から深みも消える。それに飽き飽きしている読者だって、果たしてどれだけいる事やら。
外伝シリーズにてその問題を補っている作品もあるが、その補完のやり方にはどうしてもいびつさを感じてしまう。
結局、作者ではなく読者の側に取捨選択の権利がない事こそが、そもそもの問題なのだ。
であれば、最近はサウンドノベルというジャンルもある事だし、選択肢によって物語をどこまで掘り下げるかを読者に選ばせるのも、いっそ面白いのかもしれない。
オイシイシーンだけをつまみ食いしたい人なら浅く物語を追い、ドップリ物語の世界に浸りたい人は深く物語を掘り下げる。選択肢によっては、自分のお気に入りのキャラクターが活躍するシーンのみを掘り下げる事だって可能だとするなら、やはりこれが理想形であろう。
これまでのやり方にこだわりのある人が多いのは重々承知しているが、紙媒体の必要性が薄れつつある今だからこそ、新たな道を模索しても良い頃合いではなかろうか?
他方サウンドノベルには、選択肢によって物語が変わるという要素もあるが、これに対して僕はいささか懐疑的だ。
この機能は従来のサウンドノベルの魅力ではあるが、全ての選択肢において同様のクオリティの物語を展開するというのは、僕にとって難易度が高過ぎるのだ。
一本道の物語から逸れる選択肢を選んだらすぐゲームオーバーになる罠を仕込むという方法もあるが、それで読者はより楽しめるようになるのだろうか?
物語の本筋に関係しないサブストーリー(当然、サブストーリーを読むかどうかも選択肢で決められる)内になら、そのオチが変わる選択肢を入れられそうだが、それで十分と言えるかどうか?
この点に関して、僕はまだ考えがまとまっていない。
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