第8話 脳の三層構造と爬虫類脳がライトノベルセールスにどう直結するのか?
人間の脳は三層構造になっているという話はご存じだろうか?
最も下層にあるのが爬虫類脳であり、生命維持のための本能(食欲や性欲)を司る。その上の階層には哺乳類脳があり、衝動性の感情(喜怒哀楽)を司る。そして最も上に位置するのが人間脳であり思考能力と知識欲を司るという仕組みである。
そして、人間の欲求の中で最も強いものは爬虫類脳であり、この爬虫類脳をうまく刺激しなければ、脳はロクに働かないのである。
では、小説を売り込むためにこの最大欲求に直結する爬虫類脳をどう利用するか、という話になるのだが、これは既存ライトノベルが既にやっている。
まずは、爬虫類脳の特徴を以下に挙げる。
①恐怖から逃れることにモチベーションが高い(生存)。
②人の上に立ちたい、コントロールしたい(生殖)。
③短期的欲求に敏感(餓え)。
④新しく面白くないものに興味を示さない(餓え)。
①に関しては、ホラー系が当てはまるし、主人公を窮地に追いやって恐怖を与えるというのは、日常茶飯事だ。
②に関しては、バトル系の作品で、強くなってマウントを取られた相手に対し、マウントを取り返すお話。
③に関しては、テンポ良くカタルシスを与え、刺激が途切れる間を開けず飽きさせない。④に関しても同様といえよう。
これらは、今まで僕が否定してきた方式ではあるが、単純で最も強い欲求であるが故に集客能力は高い。
が、しかし、そこに疑問がある。果たして小説というジャンルは、これらの爬虫類脳の欲求を満足させるに適したメディアといえるのだろうか?
ぶっちゃけ、爬虫類脳を満足させるには、より強い刺激があった方が良い。小説より絵によって刺激が得られる漫画の方が爬虫類脳は満足するだろうし、それよりも声やアニメーションによる刺激が得られる方が更に望ましいだろう。いっそVRで疑似体験できるくらいにまでなってしまえば、理想的だ。
けれど、それって現実に近い方がより刺激が得られて、爬虫類脳が満足するって事にもなる。
要するに、どこまで行っても娯楽媒体は疑似的なものであり、脳はリアルにそれを体験したがっているのだ。
娯楽にのめり込んでいる者の多くの本音も、そこにあるのだろう。すなわち、本当はリアルに体験したいが、それは自分にはできない、できる訳がないからせめて疑似的に体験したい、と。
けど、疑似的な体験ではどこまで行っても完全に満足できぬのが道理であり、心を偽り娯楽に逃げる空しさもどこまでも付きまとう。
今、多くの人が真に欲しているのは一時的に満足する事ではなく、リアルを変える、それも自分でもできると思える方法についてのヒントではないだろうか?
そして小説に限らず文章という媒体は、そういった情報伝達に優れた媒体である事も忘れてはならないのではないだろうか?
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