第6話 劣等感となろう系とカタルシスの不毛な三角関係
劣等感の強い人の特徴というものを知っているだろうか? 彼等はその劣等感故に自分で自分の事を認める事が出来ない。よって人から認めて貰おうとする。
分かりやすい例をあげると、部下を集めて昔の手柄自慢をする上司、財産があるならそれをやた自慢してマウントを取ろうとする人物、あるいは暴力で自分の優位性を他者に認めさせる奴。
いずれも、その劣等感故の他者に自分を認めて貰うためのアピール活動である。そして常に他者に評価されていなければ、彼等は不安で不安で仕方ないのだ。
で、これがまた、いわゆる”なろう系”作品が満たす需要と重なっているのだ。
異世界人にマウントとって自分を賞賛してもらう。転生能力を見せつけてマウントったりイキったりと、そんな事を連続させて劣等感の強い読者、あるいは視聴者にカタルシスを提供する事に徹した作品。それに特化した娯楽作品として評するなら”なろう系”は見事な完成度を誇っている。
また、劣等感の強い人は、”自分が不当に扱われている”と感じて、悔しくて悔しくて仕方のないものなのだが、これも”追放ざまぁ系”と重ね合わせて考えると、良きカタルシス提供源といえる。そして、なろう系が流行っているって事は、劣等感が強い人が現代社会に溢れているという事でもあるのだろう。
ただし、一時的にしかも疑似的なカタルシスを得ているだけなので、すぐにその快感は薄れ、そしてもっと強い快感を求めるループにハマってしまう。
商業的に考えると、これはこれで収入源として安定しているのだが、劣等感に苦しんでいる人達にとっては、無限ループにハマっているだけで、一向に状況が良くなるわけではない。
この劣等感を払拭するには、心理セミナーなどでメンタルブロック解除するのが良いのだが、自分なりに経験し、調べてこの小説(https://kakuyomu.jp/works/16817330657060896543)の27話にも書いてみた。
いささかストーリーに落とし込むうえで、略したり強引になってしまった部分もあるが、ここでつたない文で一から説明するよりは分かりやすいと思うので、もしループから脱したいと願う人がいれば一読してもらいたい。
また、心理的な知識などなくとも”力さえ身に付ければ劣等感は払拭できる”と主張する人もいるかもしれないし、だいたいの娯楽作品はそういうストーリーの方が好まれるのだが、それは間違いである。
知恵に自信があったとしても、自分より知恵がある者と比較して劣等感を抱く。これはライバル関係にあった天才と秀才を思い描いてみれば、良く分かる話だと思う。
財産についても同じで、自分より財産のある人間を見ると劣等感を抱く。もし世界一のお金持ちになったとしても、自分より体力のある人を見れば劣等感を抱く事は簡単である。
要するに、自分の能力を自分で評価してあげられるのか、それとも自分の能力を否定する材料をあちこちから拾ってきて自分下げしまくっているのかという事に集約される問題である。
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