第4話 対人スキルがチートな人しか勝たんという話

 世の中で成功者と言えば、金を持ってる人、力や権力を持ってる人って認識が一般的だが、そいつは間違いだ。

 金を持ってても家族関係が崩壊してる人、権力があっても満足できず心が満たされてない人はザラにいる。

 麻薬に手を出す芸能人が多いのがいい例だろう。傍から見ると、派手に遊んでいて羨ましいと思える連中も、人間関係がぐっちゃぐちゃで派手に遊びでもしなけりゃ憂さを晴らせないから、異常なまでに金を使ってでも大はしゃぎしてるなんて事すらある。

 もう十分な金を得ている筈の政治家が、それでもまだまだ満足できず、自分の心を満たせず不正にまで手を伸ばして自滅するのも、結局彼等が真の成功者でない事の証明だ。いくら金があっても満足できない状態というのは、餓鬼道に落ちたも同然なのだ。娯楽作品等を収集した経験のある人なら分かるだろう。どんなに集めても、心が満ちないという状態を。次から次へと欲しいものが出て来て、永遠に満足するところまで到達できないという状態を。心を満たそうとした人間が、金と贅沢でそれをやったらどうなるか、想像してみるといい。

 当然の事だが、幸せに生きてる人間っていうのはそんな連中ではない。実際に幸せな人というのは、なぜか対人スキルがチートな人達ばかりなのである。嘘だと思うなら、本気で幸せな人間を探してみるといい。

 で、上記を踏まえたうえで考えると、対人スキルや性格が終わってる人間が、力を得て無双してハッピーになる話は、絵空事って事になる。

 当然、幸せに生きている人間ってのは、性格がとてつもなく良い人が多い。それこそ、”汝の敵を愛せよ”を地で行くような人ばかりなのだ。

 では、これを踏まえた上で考えてみて欲しいのだが、”こいつだけは許せねぇ!!”なーんて作品に心酔してる人達は、彼等のように幸せに生きられるだろうか?

 結局、この世に争いが絶えぬのも、不幸な人が多いのも、こういう思想と、こういう思想に支配された作品を世の中にバラまき過ぎているのが一因となっているのではないかとすら思える。

 そしてまた出版社も企業も、安易に感情を揺さぶるような作品がウケるからと、そんな幸せとは真逆の道を説くような作品を書けと、作家さんに言い続けているってわけです。

 第三話でもちょっと書いたけど、そういう事を知ってしまうと飽きますよ、数十年も彼等が推し続けて来た”売れる作品”って奴にね。

 ちなみに対人スキルがチートな人達って、なぜか運もいいですよ。ありえないくらいに。だから苦労せずに大金を得たりする事だってある。

 でも幸せでない人達は、苦労話が大好きだ。成功してる人をみると「さぞご苦労なさったんでしょう?」と決めつけて来る。苦労しなければ幸せになる事は許されないし、許せないと思っているのだ。だから「苦労してません」と本当の事が答えられないなんて話も聞いている。

 不幸な人は不幸の連鎖を、知らず知らずのうちに自ら望んでいると言う訳だ。


 ここからは宣伝になるのだが、上記の事を踏まえて書いた自作品が「ハーレムパーティ! ああ勇者様! よぅ勇者くん! キャー勇者ちゃーん! ケッ勇者かよ……(https://kakuyomu.jp/works/16818023212501287015)」である。対人スキルで気を付けるべき事を指摘したり、”汝の敵を愛せよ”を”心の中で嫌いな人の幸せを願う”と変えたりして作品内に登場させたが、果たしてその真意に気づいた人がどれだけ出てくれるだろう?

 今後、対人スキルに目を向けた作品を書く指標になってくれるといいのだが。

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