第2話 バトル系作品て、本当にストレス解消になってるの?

 バトル漫画や小説、アニメとかいろいろあるけど、それら全部ひっくるめてストレス解消にどこまで有用なのかってお話を、今回は考えてみる。

 結論から言うと、一時的なストレス解消でいいならまあまあ効果はあるけど、そこまで有用なものではない。

 所謂バトルものと言われる娯楽作品の仕組みは、まずコイツ殴ったらスッキリするんだろうなと思えるような悪役を登場させ、そいつを超えるために色々主人公達にさせて、で実際に殴り倒してスッキリ、というのがおおよそのパターン。

 その過程にドラマとかバトル内容とかいろいろ挟むけど、この悪役が登場しては倒される工程をスムーズに無駄なくテンポ良く提供するのが良作とされている。

 現実では気に食わない奴がいてもぶっ飛ばす事はできないが、漫画や小説の中で、それを疑似体験する事で、スッキリするという訳だ。

 が、これと似たような事を現実にやっている連中もいる。所謂、いじめっ子という奴だ。

 彼等は自分より弱く、そして気に食わない奴を見つけては、暴力を振るってスッキリしている。漫画では悪役を倒して、スッキリして終わりというパターンだが、彼等の場合いじめがエスカレートするだけで、止む事はない。

 なぜか? といえば気に食わない奴をぶっ飛ばしても、一時的なストレス解消にしかならないからだ。

 これ、バトル漫画でも同じことで、いくら気に食わない奴をぶっ飛ばす疑似体験をしたところで、それは一時的なストレス解消にしかならず。いじめっ子がもっと過激ないじめを求めるように、もっと過激な作品を求め、中毒患者のように刺激を求め続けるループにハマるだけである。

 結局、いじめっ子にせよ、娯楽作品にハマる人間にせよ、それとは別にストレスを抱えており、それを解消する手段として疑似的に、あるいは現実になにかを殴る事で解消するという行動に出ているのだ。すなわち、根本のストレスを排除せぬ限り、彼等が本当にスッキリする事は永遠にできない。

 で、宗教の教典とかには、答えがこうある「汝の敵を愛せよ」と。

 本来、それが正解なのだろう。ストレスを与えて来る、ぶん殴りたい相手を許すというのが、本当の意味での解消法であり、現実でそれができればストレス解消の手段などそもそも必要すらない。他人を許せる者は、自分の事も許せるのだから。

 でも、できない。無理して許そうとしても無理だから許せないのだし、我慢して許そうとしてもますますストレスが溜まる。

 結局、許す側に許せるだけの余裕がないのだ。殆どの人は無自覚の内に、許せるだけの余裕もない状態に既に追い詰められているのだ。

 では、心に他人を許せるだけの余裕を作るにはどうするかという話に結局はなる。

 これも結論から言ってしまえば、現在の常識やら教育やらがストレスを与え、我々から余裕を奪う原因となる考え方を植え付けているのだと、まず理解する事だ。

 教育現場で、まず我々が体験するのは”他人との比較”である。これほど面白くない事はない。

 体力に優れぬ者は、教育現場で体力に秀でた者と自分を比較し自信を失い、理科が苦手な者は、理科が得意な者と比較し自信を失うといった具合にだ。しかもそこでは、平均的に優れた人間のみ、成績優秀者とされるため、苦手な事が一つでもあれば、それが劣等感に繋がりストレスを生む。

 全てが平均的に優れた者とて、進学で自分より才能ある連中と比較されるのだから、結局は比較される事がストレスへと通じていく。

 ぶっちゃけ、いちいち他人と自分を比較する癖を消すだけで、随分とストレスは解消されるのだ。

 次にこの社会の常識だが、こいつは一つの生き方しか成功者として認めない。

 金持で、結婚して、子供がいて、社会的にも地位があってと、こんな具合にだ。今周囲を見渡してみて、こんな人達ばかりだという人は稀だろう。もともと人は千差万別なのだから、千差万別の人生があってしかるべきである。しかし、世の常識に照らし合わせると、一握の人間しかまともは評価してもらえず、他の人々は常識に照らし合わせる度にストレスを感じるという仕組みだ。

 しかも、この常識通りに生きている連中でさえも、家族関係が崩壊してストレス満載だったりする人が珍しくないのだから、救いがない。

 まとめると、一時的なストレス解消にはバトル漫画や小説は有効。しかし根本原因を解消するには、学校教育で受けた事を否定し、社会常識を否定する考え方を教える作品が必要という事になる。

 そして、多くのバトルものの娯楽作品は、結局学校教育も、社会常識も否定しないため、ストレスを与える側にくみして終わってしまうのである。

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