番外編1 エルリック

これは少し昔、6年くらい前の、まだ私がほんの10際くらいだった頃のお話。

 

 当時の私の容姿は今のものとは違い、髪は白く腰まで伸びており、青い瞳をしていた。エルリックは.....エルリックっていうのはこのもう少しあとに出会う男の子なんだけど、その男の子は私のことをこの世のものとは思えない、天使のような容姿をしているって言ってくれた。

 自分では決してそんなことはないと思っているけど。


 この村には言い伝えがあった。それは、かつて白髪で青眼のエルフは不吉の象徴であるというものだった。


 しかし、私の耳は尖っていない。人間だ。しかし、それでもこの村の人々は私を迫害した。


 両親も初めは周りの声にも耳を貸さず頑張って私を育ててくれたが、日が経つにつれて私に冷たくなっていき、6才になる頃にはもう虐待を受けていた。そして今日、私は両親に捨てられた。


 とぼとぼと行くあてもなく村をさまよっていると5人の男の子達に、人気のない場所に連れていかれた。


 まだ10歳もいかないくらいの私を5、6人の男の子が取り囲んでいる。


 私がプルプルと震えていると1人の男の子が髪を引っ張り、無理やり立たせる。



「っっ!!痛いです.....やめてください.....」


「うるせえ!悪魔!!」


 髪を引っ張った男の子は、思いっきり私の腹部を蹴り飛ばした。


「ぐぅっっ!!」


 地面にうつ伏せになっている私を再び男の子たちは取り囲んで力いっぱい踏みつける。加減は一切ない。死んでも構わないというように容赦なく踏みつけ、蹴りつけ、傷つけていく。


「ごめんなさい!ごめんなさい!.....っぐぅ...ごめんなさい...うぅっっ!ごめん.....何でもするから.....ぅぅぅっ!許して.....」


「何でもするんだぁ。だったら、死ねよ!!死んだら許してやるよ!!悪魔っ!!」


 男の子は足で蹴り飛ばして私を仰向けにする。


 そして足を高々と振り上げて――


「死ねっっ!!」


 全力で踵を私のお腹の真ん中に振り下ろした。


 女性は腹筋が男性よりも未発達で脆い。だからこそ、少年たちにも想像できないような激痛が私を襲った。


 彼女の意識は、そこで消えてしまう。


 どれくらい時間が経っただろうか、もう、いっそこのまま、死んでしまいたい。痛いのはもう嫌だ。そう思っていた。

 

「...丈夫.....!!お...大丈.....か!」


 誰かの声が聞こえる。ここで私は、運命の出会いを果たした。そう、この時私に声をかけた男の子、彼こそが――


「おい!大丈夫か!?おいっ!」


 エルリックだ。


 そこから私は紆余曲折、本当に色々なことがあって、それを乗り越えて、エルリックの家に引き取られ、幸せに生きていくのだがそれはまた別の話だ。


(☆のレビューをつけてくださった方ありがとうございます。この番外編は上記の「紆余曲折、本当に色々なこと」について今後も更新予定ですので、用意が出来ましたらまた、小説内で星のおねがいとアナウンスをさせて頂きます。)

 

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