第七章 魔王討伐編
第107話 出発!
「どうやらここが最終回層のようだな」
先に転移石の間に入っていたレイは、ここに下の階層へ繋がる階段がないことを確認していたようだ。後から入った僕等も、念のため部屋全体を調べたけど下へ続く階段は見つけられなかった。
つまり、ここ亡者の墓は五十階層が最終回層で僕等はこの
まさかとは思うけど、『すでに経験済みだぜ』と言っていたレイの言葉は真意は……そうなのか!? 大事なことだから二回言おう。そういうことなのか!?
その後、勇者達三人は教皇に
彼らのレベルが100になり、スキルも最高のSクラスに到達したことで指導陣もお役御免になりそうだ。
コジローさんは僕が作った新しい刀を仲間に見せてやりたいからと、いったん自国に帰るようだ。聖女様はもともとこの国の人なので通常業務に戻るのだろう。レイはというと、てっきり聖女様と一緒にこの国で暮らすのかと思ったら、勇者達の魔王討伐に付き合うそうだ。なぜか僕を連れて……
ということで、僕はレイと勇者達三人と魔王討伐の旅にでることになってしまった。もちろん、彼らの武器を作った後で……
▽▽▽
一ヶ月後。無事勇者達三人の武器を作り終えた僕は、彼らとレイと一緒に魔王討伐の旅に出ることになった。この一ヶ月、レイに散々自慢されたけど僕は忙しいという理由で、その、何というか、女の子との仲が深まるということはなかった。
レイが『古代恋愛術を教えた意味がねぇな』とぼやいていたけど、こればっかりは性格だから仕方がないよね。
しっかりと準備を整えた僕等は、教皇様や神聖国家クレセイドのみんなに見送られながら、まずは港町カルバチアへと向かうことにした。魔王が住む魔王城は、この大陸ではなく海に浮かぶ島にある。
そのために、海に面したカルバチアから船に乗って魔王国へと向かうのだ。
港町カルバチアといえば、コジローさんと一緒に魔族やセイレーン、海賊達を倒したところだ。懐かしい。そう言えば、あそこで登録した海の魔物料理の閲覧料もかなり入っているみたい。
登録した料理の閲覧料は全て実家に送られることにしておいたから……お母さん、びっくりしてないといいんだけど。
さて、港町カルバチアまでは馬車で移動することになったんだけど、その場車の中で勇者の三人から、そしてレイから面白い話を聞くことができた。
「僕等の世界では、味噌とか醤油とかは当たり前にありましたね。お酒もここより種類がたくさんありました。僕等は未成年だったから飲んでませんけどね」
そう、今ショウタが説明してくれたように異世界には以前コジローさんが教えてくれた味噌や醤油が当たり前にあるのだとか。こっちの世界では腐敗や発酵の時間が短く、なかなかそれらを利用することができないから広まっていなかったんだけど、何とレイがその解決方法を教えてくれたんだ。
「あー、前に伝えようと思って忘れてたな。ってか、お前が聞いてなかったんじゃなかったか? まあいいけど。俺が知ってるジョブの中に
何と!? スキルで腐敗を進行させることができるとは。これは盲点だった。
どこで
ふむふむ、
お目当ての"ゾンビ化"はSSクラスのスキルか。頑張って上げねば!
僕が
でも、彼らは異世界人だししばらく一緒にいることになりそうだから、僕の秘密を少し話しておくことにした。なぜこの力を手に入れたのかはレイのために内緒にしておいたけど、複数のユニークスキルを持っていることは伝えておいた。
ショウタが『僕等の存在意義が……』とか呟いていたけど気にしない。大丈夫。魔王討伐を頼まれたのはショウタ達だから、僕は手出しするつもりはないからね。そう励ましたけど、何か納得いかない顔をしていた。逆にカオリさんは今まで以上に僕にくっついてくるようになって、引き離すのが大変でした。
「あぁぁぁ!? ここの先じゃなかったっけ? 前に稲を見つけた洞窟って!」
馬車から外の景色を眺めていたショウタが突然大声で叫び始めた。
「あっ、確かに見覚えがありますね。あの大きな2本の木の間から入って行った気がします」
ショウタが指さす方向を見たミコも頷いている。
「稲ってなんですか?」
僕がショウタに聞いてみると、稲とは以前コジローさんが教えてくれた米を採れる植物で、成長した稲の種子が米になるそうだ。これは取りに行くしかないでしょ!
僕は御者のおじさんに馬車を止めるようにお願いして、勇者達三人と一緒に洞窟を目指すことにした。レイには馬車を守ってもらうためにお留守番をお願いした。何やら途中からこちらを監視してる気配も感じてるしね。
ショウタの話によると、一日もあれば着くだろうとのことなので二日で帰ってこれるように計画を立てる。
目指すは稲が生える洞窟だ!
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