第91話 最高の付与師 ⚪︎
「なんと!? まさかその日のうちに、本当に祭器を取り返して来るとは!? ライトよ、天晴れじゃ! 約束通り、その他の希望を叶えてしんぜよう!」
僕が取り返した祭器を女王様に返すと、大層喜んでくれた。おかげで、僕がお願いしていた最高の付与師への弟子入りも許可されたようだ。
エルフの国にとっては大変な出来事だったみたいだけど、僕にとっては大変ありがたいイベントだったね。この問題を解決しただけで、僕の希望がこんなに簡単に叶えてもらえるのだから。
それから、祭器を盗んだ魔人についても伝えておいた。ついでに、人族の間でも魔人の動きについて注視していることも。
意外にもエルフの国でも他国の情報はある程度掴んでいるらしく、魔人の動向についてはこれから気をつけていこうと言っていた矢先のこの事件だったらしい。
さて、魔人の動きは任せるとして、今は最高の付与師の話だ。どんな人を紹介してもらえるのか楽しみだな!
「よし、ライトよ、今日から妾の屋敷に住むがよい! 空いている部屋はたくさんあるから、好きに使うがよいぞ! ああ、それと妾の名前はソルマリアじゃ。気軽に名前で呼ぶがいい!」
んん!? 何々!? 女王様の屋敷に住む? どうしてそうなった? 僕は最高の付与師に弟子入りできればそれでいいのだよ? ほら、隣でウィルフィットさんがもの凄い形相で睨んでいるし。
「あの、僕は最高の付与師の方に弟子入りしたいので、決して女王様の館に住みたいわけでは……」
「わかっておるぞ。だから妾の屋敷に住まわせてやるのじゃよ。まさか、この国に妾より優秀な付与師がいるとでも思っているのか? 妾の指導は厳しいぞ! 覚悟しておくのじゃな!」
何と!? この国最高の付与師は女王様でした! しかし、僕がこんなきれいな女王様の屋敷に住むなんて……レイに教えてあげたかったな
僕はこの後、女王様お付きのエルフのお姉さんに屋敷を案内してもらい、部屋をひとつ割り当てられた。しばらくはこの部屋で生活して、付与師の技術を磨く予定だ。
まあ、女王様はきれいだし、ここには女性しか住んでいないみたいだけど、余計なことは考えずに、技術の向上に集中したいものだね。
僕は女王様の屋敷で夕食をいただいた後、女王様に屋敷を一通り案内してもらいました。それから割り当てられた部屋に戻り、寝る支度をする。ちなみに夕食は女王様も一緒で、僕のことについてあれこれ聞かれて大変でした。
お屋敷のベッドは柔らかい草にシーツを被せたもので、随分簡素だと思ったけど思いのほか草の柔らかさが丁度よく、自然の香りも豊かでぐっする眠ることができました。
次の日の朝、いつもの習慣で早起きした僕は、屋敷のあまりの静かさに驚愕した。
(誰も起きてないじゃん……)
どうやらここのエルフのみなさまは、あんまり早起きは得意ではないようでした。
僕は一足先に昨日案内してもらった作業部屋へと入る。それほど大きくない部屋の左側の壁際の棚には、属性ごとに分けられた付与クリスタルが並べられており、反対の右側には空の付与クリスタルが置いてある。
部屋の中央には大きな作業台が鎮座しており、そこで武器や防具、アイテムに魔法を付与するようだ。
奥の壁には様々な武器や防具が掛けられており、その下の箱にはアイテム類が入れられている。なるほど、確かに女王様は腕利きの付与師のようだ。武器や防具、アイテムの中にはすでに付与済みのものがいくつか混ざっており、鑑定することで女王様がいかに優秀な付与師かわかってしまった。
さて、昨日この部屋に案内してもらったときに、空の付与クリスタルは使っていいと言われたな。早速だけど、付与クリスタルに魔法を入れてみるか。
僕は作業台の前に立ち、棚からひとつ空のクリスタルを手に取る。これのクリスタルに魔道士が魔法を入れるはずだから……
僕は空のクリスタルを右手に持ち、しばし考える。
(さて、どんな魔法を込めようか?)
僕の付与術はDクラスなので、アイテムに付与するとなると同じDクラスまでの魔法じゃないと無理だ。ただし、今回は付与に使う予定はないので炎魔法をいくつか込めてみることにした。
僕は三つの空のクリスタルにそれぞれ、Dクラスの
僕の魔法攻撃力は4048。Dクラスの魔法だと1.1倍。Cクラスで1.2倍。Bクラスともなると1.3倍のダメージを与えられる。ちなみに、Aクラスは1.5倍、Sクラスは1.8倍、SSクラスに至っては2倍のダメージだ。
つまり、炎魔法Dクラスのファイアーボールは4048の1,1倍で約4500ダメージを出せる計算だ。これを付与クリスタルに込めると……うん、4450ダメージのファイアーボールが込められた付与クリスタルが完成した。炎魔法のレベルが30だからほとんどロスがなかったようだ。
これはそのまま使えば一度きりだけど、魔法攻撃力4450のファイアーボールが撃てる。付与に使えば、アイテムに炎属性を付与することができる。ただし、付与術のクラスが低いとロスが大きくなるようだ。
試しに、ファイアーボールが込められた付与クリスタルを拾った石に使ってみた。
(おおう、炎属性890か。80%もロスしてる……)
ファイアーウォールもフレアバーストも試してみたけど、やはりどれも80%ロスしていた。おそらく付与術Dクラスのロス率は80%で固定なのだろう。これを武器に付与するとなると、さらに追加ダメージは十分の一の値になってしまうから……炎属性の追加ダメージが89か、多いのか少ないのかはよくわからないけど、ないよりはましなのかな?
そんな感じで付与術を試していたら、部屋のドアが開いてソルマリア女王が入ってきた。
「なんじゃ、そなたは随分早起きじゃの。それにもう付与術の練習を始めておるのか。人族とは随分練習熱心なのじゃな」
「あ、女王……ソルマリアさんおはようございます。ちょっと待ちきれなくて先にお邪魔しちゃいました」
この部屋は自由に使っていいとは言われてるけど、一応お断りを入れておく。そんな僕の言葉に、ソルマリア女王は片手を上げて応えてくれた。うん、これからも黙って入っても問題ないってことだね。
僕がそんなことを思っていると、女王様の視線が僕の持つ石に注がれているのに気がついた。
(あっ!? これはやってしまったかもしれない……)
名前 :ライト
性別 :男
種族 :人族
レベル:42(74)
ジョブ:付与師
クラス:D
職業 :付与職人
体力 :400(1630)
魔力 :200(3213)
攻撃力:420(1627)
防御力:420(1626)
魔法攻撃力:200(4048)
魔法防御力:300(3951)
敏捷 :355(1635)
運 :375
(オリジナルギフト:スキルメモリー)
ユニークスキル
重ねがけ Lv1
(無詠唱・並列思考・消費魔力減少・魔力回復速度上昇
攻撃力上昇(中)・防御力上昇(中)・魔力上昇(小)
魔法攻撃力上昇(中)・魔法防御力上昇(中)
敏捷上昇(中)・鑑定Lv30・探知 Lv30・隠蔽 Lv30
思考加速 Lv30・集中・獲得経験値倍化・経験値共有
アイテム効果アップ・効果持続 Lv30・暗視・魔物調教
契約・召喚・ジョブチェンジ・ステータスアップ効果)
ラーニングスキル
付与術D Lv1
(炎魔法SS Lv30・風魔法SS Lv30・土魔法SS Lv30・雷魔法SS Lv30
水(氷)魔法SS Lv30・闇魔法SS Lv30・光魔法SS Lv30・聖魔法SS Lv30
重力魔法SS Lv30・時魔法SS Lv30・空間魔法SS Lv30・結界術SS Lv30
錬金術SS Lv30・調理術SS Lv30・槍術D Lv1・斧術D Lv1・弓術D Lv1
拳術D Lv1・盾術D Lv1・暗技D Lv1・短剣術D Lv1・剣術SS Lv30
刀術SS Lv30・強化魔法A Lv16・加工術超 Lv30・採集SS Lv30・算術SS Lv30
裁縫D Lv1・農耕D Lv1・採掘SS Lv30・暗殺術D Lv1・調教術D Lv1
精霊契約D Lv5・祝福SS Lv30)
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