第3話 File name_memories_003_with missing
「マキちゃん、この間のコラボ動画、凄い再生回数だね!」
「うん、こんなに再生されたの初めてだよ。えっちゃんのおかげだね!」
「ううん、全部マキちゃんの実力だよ。ようやく世間がマキちゃんの魅力に気づいたんだね!!」
「えっちゃん……、ありがとう。マネージャーさんも喜んでくれたし、私、この調子で頑張るね!」
「応援してる!」
『マキさん、今、少しお時間を頂いてもよろしいですか?』
二人で盛り上がっていると、一通のメッセージが入った。
『あ、曽根マネージャー。大丈夫ですよ!』
数秒も経たないうちに返信を送るマキちゃん。
『ありがとうございます。では、二人きりでお話したいことがあるので、Aさんは……』
『了解です。一旦落ちますね』
『お手数をお掛けします』
モニターを見つめながら、軽く頭を下げる黒いロングヘアーの女性。
そして、画面に「sleep」の文字が表示されたことを確認すると、
『早速ですが、本題に入らせて頂きます。神原マキさんー』
重い口を開いた。
一時間後
「マキちゃん、お疲れ。結構時間掛かってたけど、曽根さんとどんなお話してたの?」
「……あのね、えっちゃん。私、皆とお別れしなきゃみたい」
「え?」
「先日の会議でね、私の引退が決まったんだって。それで卒業配信の日程はー」
淡々と卒業までの流れを説明するマキちゃん。
話の内容は殆ど記憶にない。
ただ、
「そっか……。それなら仕方ないね」
マキちゃんが話終わるまで、冷静に耳を傾けていたのだけは覚えている。
「うん、これからはえっちゃんがRADを引っ張って行ってね。任せたよ!」
「うん、任された」
平然を装って話す二人だったが、その声からは微かに悲しみの感情が滲み出ていた。
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