カンゲキ

『ここは隙間なんだ。時間や世界などのただただある隙間。只今できた隙間。』

隙間という言葉を私は理解ができない。隙間という言葉の意味ではなく、なぜ隙間といったのかということを。

「どういうことなんだ。隙間って、それに出るって。出る方法を知っているのか。」すると奴は少し吹いたかと思うと『隙間というより余白や遊びといった方が分かりやすいかもね。どんなものも遊びがないとうまく回らないんだよ。この世界もそうさ。この世界が何かでギュウギュウに満たしてあっても遊びの部分があればうまく回る逃げ場所になるんだ。まあ、つじつまの合わないことや都合の悪いものを押し込める物さ。少し話過ぎたね。端的に言うとこの世界の遊びから君を出そう。そのために来た。』

遊びか。「で、どうしたらいい。」他人に頼りっぱなしになる自分が嫌になる。『なぁに。簡単なことさ。君が理由を、原因を見つけることだ。現象には理由がある。すべてではないが特に怪奇現象にはね。これは君たちの世界でいう怪奇現象だ。』「私が巻き込まれたのには理由があるのか?」心当たりがない。少なくとも霊感はなく、キャトラれたこともない。お天道様に顔向けできないことも多分していないはずだ。すると奴は少し低い声で『巻き込まれたという言い方は良くない。君が起こしたことだ。君が起因で原因で根源で犯人で導因で。他の誰も悪くない。君自身の問題だ。君が向き合うんだ。』僕の問題。そう言われてもわからない。こんな誰もいない切り離されたような空間に隙間に入り込んでしまう理由がわからない。そういえば彼女、天良は入り込まなかったのか。「天良は一体どうなっているんだ。さっきまで僕の隣にいた彼女は。」『君の隣にいた彼女は今も横にいるよ。君が少し隙間にずれた、Z軸方向に位置を変えただけだ。怪奇現象には周りを巻き込むものもあるが今回のケースは君だけだ。』少しホッとする。それなら原因を安心して探すだけだ。『そんなに君にとって大切な人なのか。』「大切な知り合いだ。」『ああ、そうなのか。原因のヒントを話そう。原因は現象とリンクする。今回の場合、隙間や信号や横断歩道が関与するだ。物理的にじゃないよ。精神的にだ。』そんな言い方はまるで答えを知っているみたいじゃないか。奴はおそらく知っている。だが自身で見つけなくてはおそらくいけないのだろう。自ら、自らに問いかけるときが来たのだ。探偵も犯人も私の一人の解決劇を。


   『わかったよ。君を観劇させてもらおう。頑張れよ。大少年。』

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