12.

ようやく豚さんが落ち着いてくれた。

うちに着いてから一時間近く、ずっと何言っても何しても拒絶されていたが、遂に観念してくれた。

「で、あれは一体何だったんですか?」

落ち着いたものの、やはり今も俯いている。本っ当に私と目を合わせようとしない。

「柏田さん!」

ギュッと豚さんの両手を握った。目の前に彼の脳天が見える。

「、、、、、ぅぅぅ、、、、、」

また項垂れる彼。いくら時間をおいても、この質問をする度にこうなってしまう。

「柏田さん!」

「、、、、、ぅぅぅ、、、、、、」

「私を見て下さい!」

豚さんの顎を掴み、グイッと上にあげた。

驚いた様子で目を見開き、必死に目線をそらし続ける彼。

見かねて私は彼にキスをした。

「、、、うう!!、、、、」

一気に彼の手に力が入った。すかさず彼の舌を吸い込むと、

「ううう!!」

天井を見上げて恍惚とした顔になる彼。そして気づいた時には両肩を鷲掴みにされ、体を床に打ちつけられていた。そこから自ら服を脱ぎ始めると、力強く手を掴まれながら思いっきり顔を近づけられ、激しく舌を絡められた。そうしながら力づくで私のズボンを脱がしていく彼。そのままされるがままにしていると、遂に思いっきりうつ伏せにされた。後ろで力みながらベルトが外されていく音がする。そしてちょうどそれが振り上げられようとしたその瞬間、私は後ろを振り返って彼を見上げた。

「それです」

血走った目で私を見ながら、何とかベルトを振りかざす手を止める彼。

「それは一体なんなんですか?」

悲しみが込み上げてくる私。

「私を受け入れてくれるんじゃなかったんですか!?」

ベルトを持つ手が下がる彼。

「、、、、、受け入れる?」

初めて聞いた言葉のように言う彼。

胸いっぱいに気持ちが溢れてくる。

「そうですよ!特に私の汚い部分を!!人には言えないような汚い部分を!!

あなたなら全て受け入れてくれると思ってたのに!!!!」

「君は、私に支配されたかったんじゃないのか」

「ある訳ないでしょう!!!」

私は思いっきり柏田の胸ぐらを掴んでいた。 

「出てけぇ!!!早く出てけぇ!!!!」

そのまま柏田の背中を後ろの壁に思いっきり打ちつけた。口を開けたまま私を信じられないような目で見る柏田。次の瞬間、未だかつて感じたことのない力で私の胸ぐらを掴んできた。そのまま柏田を床に叩きつけようと全身の力を両手に込めたものの、全く動じなかった。命の危険を感じた。

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