第9話(閑話)白猫の初恋①
「うわ! お前の目、気色悪いな」
「お前白すぎ。うつるから近寄んな」
私はアネマラ・ヘナプラスター、アル。血の色の目が気味悪がられるアルヨ。白い髪と肌が赤をさらに強調するアル。私は昔から他の人とは違う外見で嫌われていたアルネ。
でも私は他の人になんと言われても気にしなかったアルヨ。大好きな父と母がいるアル。
父と母は普通の見た目アル。だけど、私と一緒で両親とも魔力を全くなかったアルネ。魔力を持たない体質はそんなにいないアルヨ。それに顔は両親とそっくりって言われたアル。
私が十五歳になったころ、父と母は仙人と聞かされたアル。当然のように私も丹薬を飲んだアルヨ。
「俺たちはこれから教会に話に行くアルヨ。アネマラはここに居るアル」
ある日、父と母そう言っていなくなったアル。私も一緒に行きたいと言ったアルガ、いつにない剣幕で止められたアルネ。
それから、他の仙人や魔力がない人たちが教会から弾圧されて行ったアル。『仙人狩り』と呼ばれていたアルヨ。教会から抜け出した両親に連れられ、私はコーロー山に逃げて行ったアル。
両親は教会について何も言わなかったアル。探ることも強く咎められたアルネ。しばらくして、両親は寿命で死んだアル。何が起きたか私は分からなかったアルヨ。
その日から私は『
いつの間にか私は「ホワイトマオタイガー」と呼ばれるようになっていたアルネ。寝床を荒らす人を追っ払っていたアルガ、なんでタイガーなのかはわらかないアル。
私を訪ねてくる人はいなかったアル。一匹の龍が私の涙を貰いにきたぐらいアルネ。
私は五百年近く、ほとんど一人で生きて来たアル。不老不死の体が疎ましく思ったアルヨ。
不老不死と言っても、病気や寿命で死なないだけアル。刺されたり、毒に当たったりしたら死ぬアルヨ。
最期は子供の時に家族と食べたオニオの実と決めたアル。猫の体には猛毒アルヨ。
私の人生はそこで終わったはずだったアル。
薄れ行く意識の中で、突然口に柔らかいものが当たったアル。温かいそれは私に息を吹き込むアルヨ。
「や、やった。息を吹き返した」
人間の言葉アルネ。私は後悔したアル。よりにもよって大嫌いな人間からの施しアルネ。もっと人目につかない所で自決するべきだったアルヨ。
しばらくして、ぐったりした私に不味い何かを無理矢理流し込んだアル。不快だったアルヨ。抵抗する余力もなかったアル。
「良かった。元気になってくれよ」
間が悪い奴アル。よりにもよって、全て諦めた日に優しくしてきたアルネ。最悪アルヨ。また生きたいと思ってしまうアル。
そこから少しの間、寝てしまったアルヨ。目を開いたら、黒い髪、深緑の瞳、穏やかな雰囲気の人間がそこにいたアル。
しまったアルネ。やっぱり、人間に助けられたアルヨ。人間は大嫌いアル。ただ、この男はまだマシ、アルネ。
男は慌てて、私に服を着させてくるアル。これ以上優しくして欲しくないアルネ。私は辛いアル。
「す、すごく綺麗な目ですね」
何言ってるアル。散々気味悪がられた目アルヨ。そんな事言う人間いなかったアル。
「宝石みたいで素敵な目だと思います」
深緑の瞳がとても真っ直ぐアル。他の人間が私を見る目と違うアルネ。どうして、この男は私を惑わすアルカ?
期待してしまうアル。所詮無理な話しアルヨ。私は不老不死の仙女アル。人間はせいぜい六十年ぐらいアルネ。その後、どうするアル?
どうせまた辛いだけアル。また私に孤独にさせるつもりアルカ?
「魔力が全くないもので、どうしたものか、途方に暮れてしまっていた所なんです」
「魔力ないアルカ!?」
胸がバクバクするアル。急に裸が恥ずかしく感じるアルネ。この男のせいアルヨ。森の景色がやけに鮮やかに見えるアル。
何の冗談アルカ? 死に際に現れた、私を助けた男は、仙人の素質を持つアル。そんな偶然あるアルカ? 神様は
名前もわからない男アルガ、声や視線から優しさが溢れてるアルヨ。
「あなた名前は何て言うアルカ?」
「僕はケイ。ケイ・シーフェドラです」
ケイ言うアルカ。この名前気に行ったアルヨ。一緒に仙人になって欲しいアル。そしたら、一人じゃなくなるアルヨ。もう一人ぼっちは嫌アル。
「ケイも仙人になるアル!」
そこからの一年はあっと言う間だったアル。色のない五百年を、取り戻すかのように色彩豊かな毎日アルネ。
ケイは私が丹薬を与えるまでもなく、仙人になっていたアル。驚いたアルヨ。猛毒なのを知った上で「調子がいいから」と飲んでいたアル。ケイのことが心配アルヨ。
修行もすごい速さで成長したアルヨ。ここまで早く成長する人は知らないアル。私のおかげだと言いたいアルガ、勝手に成長していくアルネ。
ちょっとは手こずって欲しいアル。私の立場がないアルヨ。強がりの一つぐらい言いたくなるアル。
私は料理ができないアル。その代わり、木の実を採ってくるアルヨ。ケイも手伝おうとするアルガ、それは駄目アル。ケイに食事を与えるのは私の役目アルネ。
ケイはいつも病の妹を心配してるアル。それでも長く一緒にいたいと思ってしまうアルヨ。私は悪い女アル。
ただ、弱いままだとケイが死んでしまうアル。それだけは嫌アルヨ。ケイが行こうとする場所は危険アル。
それでもケイは強くなったアル。ジブライオンは昨年ぐらいに、ちょっと強めの魔導士のパーティーを壊滅させたアル。倒すどころか、なんなく生け捕りにしたアルヨ。これはケイが山を降りることを意味するアル。
「アネマラ、僕は一度王国に戻ろうと思うんだ」
「行っちゃうアルカ」
私は人間が嫌いアル。人間の住むところに行きたくないアルヨ。でも、ケイのことは好きアル。私どうしたらいいアルカ?
「また、素材を集めたらここに戻るよ。約束する。僕も仙人だ。不老不死のはずだからまたいつでも会える」
嫌アルヨ。私また1人ぼっちアル。
「私、ケイ好きアルヨ。行かないで欲しいアル」
風の音がやけにうるさいアル。きっと声は届かなかったアルネ。それでいいアル。もう少しで私嫌な女になっていたアルヨ。ケイを困らせる馬鹿アル。
「一緒に……行くアル」
本当に人里は嫌アル。だけど、ケイの近くにいたいアルヨ。人間は嫌アルガ、ケイのそばが私の居場所アル。
◇
(アネマラ落ちるううううううううう!)
私たちは『形転≪けいてん≫』して、山を降りることにしたアル。猫の私にケイが巻きつく形アルネ。ケイが何か言いたそうにしているアルガ、マムシなのでわからないアル。きっと急いで欲しいアルヨ。ケイのためアル。加速するアルヨ。
(スピードを落としてええええええええええ!)
ケイの抱きつきが強くなった気がするアルネ。私は幸せアル。
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