第32話 全国ニュースデビュー
翌朝テレビをつけると私のビームが全国ニュースになっていた。
『昨晩22時頃、謎の光の柱が突如現れ…』
ニュースキャスターが淡々と事件の詳細を読み上げている。視聴者支給の手ブレと画質の酷い映像が流れており、そこにはしっかりと事実のみが映されていた。
つらつらと澱みなく続く声に胃が痛くなってしまい、テレビのスイッチを消す。
「あ〜!まじで大事じゃん。」
私は頭を抱えて叫んだ。ビームの発信源にいた事がバレて警察が来たりしないだろうか。流石に警察のお世話にはなりたくない。来られたところで碌な事情聴取なんてできるわけないのだ。
「私、魔法少女で〜!セカイの敵を倒すためにビームを撃って〜!」と事実を説明したら普通に精神科に連れて行かれるだろう。
魔法少女の姿でいるときは認識阻害の魔法がかかっており、笹島コトミを知っている人が『プリズマガールコトミ』を見てもその2人は同一人物とは認識されないから大丈夫。その逆も然り。とミミィに説明を受けたが不安なものは不安である。
日本の警察は優秀なのだ。何かから糸口を見つけて私にたどりついてしまうかもしれない。
うんうん唸りながら悩んでいると出勤の時間になってしまった。あいにく働けるようなメンタルではないが家に閉じこもってビクビク震えるより働いているほうが幾分気が紛れて良いだろう。
SNSでも例のビームの動画が拡散されているようだが職場にはそんなバカな話を振る奴がいないことを祈ろう。
「笹島クンおはよう〜。あ、そういや昨日の光の柱みた??僕寝てて見れなかったんだよね〜」
馬鹿な話を振る奴。いました。
仕事はしてくれないくせに何故一番話したくない話題を一番話したくない私に的確に振れるのか。
「見てないっすね。」
私は早くこの話題を終わらせたいがあまり会話をぶった斬った。
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