第29話 本物の10代
るるちゃんが決死の覚悟を見せた直後に『セカイの敵』が現れたとミミィが言うので指定された方角へ向かった。
場所は300メートルほど離れた所にある廃工場らしいので走って向かう。流石10代。皆やる気があって足が速い。
私はこんなに全力疾走してセカイの敵を倒しに行ったことなんて今まで無い。高校を卒業して以来、運動らしい運動なんて一切していなかったため、頭がクラクラする。走るのってこんなに大変だったっけ…。
サクラ、レナちゃん、ヒマリちゃんは本当に足が早くてかなり先を走っており、だいぶ姿が小さく見える。逆にるるちゃんとレミちゃんは運動が苦手なのか私の少し先を走っている。そう。それでも私より速いのだ。
だめだ、もう走れない。本当に辛い。
「ごめん…。先に行ってて…。私、後で、飛んでく…。」
私はすぐ前を走る2人に息も絶え絶えで声をかけつつ足を止めた。気持ち悪い。血の味がする。
手前の2人は少しこちらを振り返り、レミちゃんは「わかりましたっ!」と返事をして、るるちゃんは「飛、ぶ?…?」と言いながら怪訝な顔をしていた。
そっか、魔法少女は普通とばないらしいね。私は飛ぶけど。そういえばるるちゃんには言ってなかった気がする。
2人の背中が小さくなって行くのを見ながら呼吸を整える。全然収まらない。咳も止まらない。
「ごほっ。ねぇ…。ミミィ。今現れた敵って強いやつ?」
「そこまでじゃないミィ。サクラとるるなら苦戦するけど、レナたちがいるなら大丈夫ミィ。教えながら戦うには丁度いいレベルミィ。」
「そっか…。ごほっ。」
ならいい。もう少し休んでから向かおう。
先ほどレミちゃんにもらったペットボトルの中身を飲み干す。丁度よく中身が溶けていてありがたい。近くに自販機があったため横のゴミ箱に空き容器を捨てた。
脇腹をさすりながらあたりを歩き、変身できそうな物陰を探す。丁度よく公園に公衆トイレがあった。ここで変身しよう。あたりを見渡しても誰もいないので出てくる時の心配も必要なさそうだ。
私はさっさと個室に入り魔法少女の姿に変身する。
「ミコト、そろそろ行ってあげた方が良いミィ。」
「分かった分かった。」
私は返事をしながら空に飛び立った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます