第20話 ヌーン ルーティーン

 とりあえず一服するか。


 私はベットからのそりと起き上がりタバコに火を付けた。煙を肺に行き渡らせる。

 これで魔法少女としての寿命短くならないかなぁ。とふと思いはじめたあたりでミミィの様子が気になり、奴の定位置の棚の上をちらと見てみた。

 いつも通り微動だにせずにただ座っている。毎度思うがあれはどういう状態なのだろうか。寝ているのか。起きているのか。でも話しかけると普通に返事するんだよなぁ。


 電気をつけず、カーテンも開けていない、隙間から差し込んでくる陽の光だけの薄暗い部屋でゆっくりとタバコをふかす。今日もバイトか。行きたくないな。寝起きの働かない頭で考えても仕方のない事が頭の中をぐるぐると巡る。

 そろそろ吸い終わるかというタイミングで時計を確認した。現在の時刻は11半時。今日は13時からのシフトのためそろそろ身支度をはじめなければ。私はタバコを灰皿に押し付けて立ち上がった。


 冷蔵庫の中を適当に漁り、冷やご飯と納豆を見つけたため適当に胃に入れる。

 そしてインスタントコーヒーとタバコ。食後の一服。


 一服終えたら洗面所で顔を洗って歯を磨く。そして髪を一つに括る。

 私は髪が腰あたりまであるので適当に括るだけでも意外と労力がかかる。そもそも櫛を通すのが大変なのだ。髪を切りたい。しかし、いつミミィに呼び出されるか分からないためゆっくり美容室にも行けない。シャンプーの途中で無理やり退店させられる未来が見える。

 いっそ適当に自分で切ってしまおうか…。

 そんなことを考えながら寝癖のついた前髪だけ適当にヘアアイロンで整えた。


 髪を結び終えたら、日焼け止めを塗って、いつも着ている適当なTシャツとスキニーパンツを掃いて準備完了。

 化粧はしない。面倒臭いから。

 ここまで賞味30分。


「ミミィ。行くよ〜。」


 ミミィに呼びかけると何も言わずこちらへ飛んできて、トートバックの中に自分で入った。


 そろそろ行くか。バイト先まで徒歩15分。あちらで制服に着替えることを考えるとそこまでのんびりできる時間でもない。さっさと向かおう。


 あぁ働きたくないなぁ。今日もいつも通り思いながら私は家をでた。





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