第18話 身分詐称を重ねて

 動悸が早くなる。私の母校、美園坂女学院は中高一貫校のためこの子達と通学している時期と被っているのだ。在学中会ったことがないか頑張って思い出してみる。

 さっき17、18歳くらいなんて適当なこと言わなければよかった。


「コトミさん?どうかしました?」


「いや、別に…。何も…。」


 レナちゃんが不思議そうに顔を覗き込んでくる。変身を解いた状態の私を見ても特に何も感じていなさそうなので、特に気づかれていないということで大丈夫なのだろうか。


「コトミさんはどこの学校に行ってらっしゃるんですか?」


 聞くなそんなこと!私は内心冷や汗をダラダラとかきながら必死に返事を考える。サクラに聞かれた時は少し強めに聞くなと言えたが、この子には少し言いにくい。


「…通信なんだよね。事情があって。」


「!そうなんですね。」


 レナちゃんは納得してくれたようでそれ以上聞かないでくれた。

 中々、良い切り抜け方だったんじゃなかろうか。これで昼間からピザを配達しているところを見られても言い訳ができる。サクラにも変に言わずにこう返せばよかったなとちらり思う。


「とりあず今日は夜遅いし解散にしようか。」


「そうですね。今日は本当にありがとうございました。」


「こちらこそ。じゃあまた連絡するから。」


 3人に挨拶をして帰路につく。今日は本当に色々なことがあった。早く帰って寝よう。明日も…。いや日付が変わってしまったので今日か。午後からシフトが入っている。何も考えず居たいところだが、チームを組んでくれたあの3人とのことも考えていかなきゃいけないのか…。ミミィに少し尋ねてみる。


「ねぇミミィ。仲間になってもらったのはいいけど、これからどうしたらいいんだろう。」


「とりあえず、4人でセカイの敵討伐に行ってから方針を決めるのがいいと思うミィ。それとミミィ的にはあと3人くらい強い魔法少女を探すべきだと思っているミィ。」


「えっ。あと3回も勧誘しなきゃなの?」


「魔法少女は基本的にチームで動いている子が多いから1、2回で済むと思うミィ。」


「…。」


 ソロで討伐してるのって実は私だけだった?後のことはこれから考えよう。

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