第17話 うっかり卒アル見ませんように。

 気まずい空気の中、少し待っているとミミィとピピィが戻ってきた。ピピィはミミィと少し距離を取るような形でフラフラとこちらに飛んでくる。


 戻ってくるなりミミィは「ピピィも納得してくれたミィ」と満足そうに言った。そして「ね。」と重ねて言うとピピィが「はい。ぜひチームを組んでいただいて…。」と震え声で言った。

 口調が変わっている。一体どんな話をしたらそんなふうになるのだ。


「そんなわけでレナ!コトミとチームを組んでくれるミィ?」とミミィが紫の魔法少女に向き直って言うと「も、もちろんです…!」と嬉しさ半分、困惑半分といった微妙な表情で言った。


「できれば、ヒマリとレミも一緒に入ってほしいミィ。」と後ろでコソコソ話しをしていた黄色と赤の魔法少女にも声をかける。


「そりゃもちろんレナちゃんが入るなら私も喜んで!」と黄色の子が、

「私も2人が入るなら…。」と赤の子が返事をした。


「コトミ〜、よかったね!仲間が3人も増えたミィ!」と嬉しそうな声色で言った。先ほどのピピィを地面に叩き落としたショッキングな事件は何もなかったことのように振舞えるこいつが私は怖い。


「うん…。ソウダネ。」


 私はそう返すことしかできなかった。

 私が返事をした後、皆んながシンとして微妙な空気が流れた。それはそうか。

 丸め込まれるようにチームを組む事になったのだ。「じゃ、私はこれで。」なんて言って即解散になる訳もない。しかし、いざ仲間になるといっても今から一体何をすれば…?「チーム名でも決めちゃう〜?」みたいな事でも言ったほうが良いのか…。


 現在の時刻は深夜1時。明日は日曜だが普通に早く帰った方が良いだろう。


「とりあえず、今日はもう夜遅いし連絡先を交換して解散しようか。」


「そうですね!賛成ですそうしましょう!」


 紫の魔法少女が少しホッとしたように返事をしてくれた。


変身を解いてスマホを取り出して連絡先を交換する。紫の子がすぐにチャットのグループを作ってくれて招待してくれた。


「一応、私たちの自己紹介させていただきますね。私は白河レナ。高校1年です。赤の子が白河レミ。私の妹。黄色の子が日向ヒマリ。2人とも中学3年生です。」


 レナちゃんとヒマリちゃんもそれに合わせて「よろしくお願いします。」と挨拶してくれた。


「ヒマリと私たちは家が隣同士だから小さい頃からずっと一緒で。討伐も基本的に3人で一緒に行っています。」


「へ〜。そうなんだ。」


 サクラとるるちゃんもそうだったが、魔法少女って近しい人同士がなることが多いのだろうか。


「あ、私たち3人とも同じ学校に通っているんです。美園坂女学院ってところなんですけど。」


 レナちゃんの発言に私はピシリと固まる。そして思わず聞き返してしまった。背中に嫌な汗が伝う。


「美園坂女学院?」


「はい!美園坂女学院です!」


 美園坂女学院は私の母校である。




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