第13話 むしろ脅して欲しい時もある。
私はミミィに言われた通りに上空から戦う3人を眺めていた。
一人は紫色の和風テイストの衣装を着て薙刀を振り回している子。
遠目にもこの子が中心となって戦っているのが分かるので、この子がきっとリーダーだ。
もう一人は黄色い衣装でローラースケートを履いている。キックをするとローラースケートから斬撃でて、それを敵に当てて戦っている。まぁまぁ強そう。
最後の一人は赤い衣装の小さな子。この子も和風テイストな衣装で薙刀で戦っている。この子だけ大分腰が引けているが大丈夫だろうか。明らかに闘い慣れていない。
魔法少女に変身している時は視力が良くなっているため相当高いところから様子を眺めていても闘いの様子がよくわかる。
それなりに強い魔法少女が戦いってこんな感じなんだ。この前見たサクラとるるちゃんの戦いは完全に勝負になっていなかったし、私はビームをぶっ放すだけなので戦いらしい戦いをしたことがない。
ミミィはピンチになったところを助けろといったが、このままだと普通に討伐が終わってしまいそうだ。
終わった後に降りていって「君たち強いね。どう?仲間にならない?」なんて声をかけにいくのは印象が悪すぎる。普通になぜ加勢しないで眺めていたのかと普通は思うだろう。
強そうな子達だけど、今回は見送るしかないのか…。と思って彼女たちの戦いを眺めていた時だった。
見ている分に攻撃を喰らった様子は無かったのだが、3人揃って頭を抱えて蹲り始めた。様子がおかしい。
「え?何?どうした…?」
急に戦況が変わったため、私が様子を見に下に降りようとするとミミィが、
「降りちゃだめミィ!」と今まで聞いたことのない程真剣な声色で言ってきた。
「は?ピンチを助けろって言ったじゃん。というか目の前で死にそうになってんだけど。」
「コトミ、あの『セカイの敵』はおそらく音を使って精神を汚染する能力を持っている個体だミィ。」
「音を使って?」
「そう。今までコトミは攻撃される前に敵を倒していたから知らないだろうけど物理以外の攻撃を仕掛けてくる『セカイの敵』多いミィ。あの敵は特殊な叫び声を聴かせた相手の精神を狂わせる能力を持つ『セカイの敵』。
音の聞こえる範囲まで近づくのはいくらコトミでも危険ミィ。」
「じゃあ、どうすんの。このままあの子たちが死ぬのを見てろっていうの?」
「ここからビームを撃てばいいミィ。」
「は?」
「だから下に降りずにビームを撃ったら全て解決ミィ。」
ミミィは軽く言うがそんなに簡単なものではない。なんせ敵気が付かれないように相当離れた距離にいるのだ。手元が狂ってあの子たちに当たったらどうするのだ。
そもそも今までビームの出力量を気にしながら撃ったこともないので敵を倒しつつ彼女たちに被害を与えない的確な出力は当然知らない。
「いやいや、無理だよ…。」
「出来る。『プリズマガール・コトミ』なら絶対できるミィ。」
「いや…。」
「出来る。ミコトは天才だから絶対できる。」
ミミィが今まで聞いたことのないくらい落ち着いて、優しく、諭すように訴えかけてくる。なんでこういう時はいつものおどし文句言わないんだよ…。
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