じつは小悪魔でした
放課後は姉貴と合流して家に帰ってきた。
姉貴は家に帰るとすぐさま自分の部屋に戻っていった。
俺も部屋に戻って部屋着に着替える。
確か今日は数学で課題が出されていた。
帰ってきたばかりだが今のうちに終わらせておくとしよう。
「涼太~、入っていい?」
「あぁ、いいぞ」
俺の部屋のドアをノックしたのは姉貴だった。
俺が許可を出すと姉貴は流れるように俺のベッドに寝転がった。
まるで一連の動作は完成されたような自然な流れだった。
こういうところは義妹のときと変わっていないな。
「何やってるの?」
「数学の課題。今回はちょっと多くてな」
「ふーん」
俺が構う様子がないからか姉貴はつまらなさそうにしている。
すると当然俺に重力がかかってきた。
なんと姉貴が俺に覆いかぶさってきたのだ。
「あ、姉貴!?」
「へー、今はそこやってるんだ」
姉貴は俺の様子を気にすることなく俺のやっている課題を見ている。
「ここ、間違ってるよ」
「へ?」
姉貴が指を指した問題を見てみる。
「使う公式が間違ってるね。ここはこの公式を使うんだよ」
「あー、ほんとだ。ありがとう」
俺は姉貴に指摘された問題を解きなおす。するとちゃんと答えが導き出された。
そのことに俺は感動する。俺がてこずっていた問題をこんなにあっさり解くなんて。
しかし考えてみればそれも当たり前だ。だって姉貴はすでにこの範囲を習っているはずなのだ。
その後も姉貴に教わりながら課題を解いていく。一人でやるより明らかに解くペースが速いし理解力も高い。
「もっと手取り足取り教えてあげようか?」
「結構だ」
といいつつも姉貴の教え方は上手でついつい頼ってしまう。
てか手取り足取り教えるってなんだよ!
そして課題も最後の方に差し掛かってきた。
「……ところで、もうそろそろ離れてくれませんかね?」
さすがにずっとこの状態だと気が散って勉強どころではない。
なんかいいにおいがするし、それに背中に柔らかいものが当たっている。
今まで耐えてきたがもうそろそろ限界になってきた。
「えー?なんで?」
なんでという割に答えが分かっていそうなにやにや顔だ。これはあれだ。俺をからかっている顔だ。
そっちがその気なら俺だってやってやるさ!
「だって背中に、その……当たってるから……」
何とか最後まで絞り出せたが恥ずかしすぎて最初の威勢はなくなっていた。
俺だって思春期なんだぞ!
「当ててるんだよ」
姉貴は俺の耳元でささやいた。
姉貴の吐息が俺の耳をくすぐり体が強張る。
「な、何を!?」
さすがに限界になって椅子から立ち上がる。
その拍子に姉貴からの拘束から逃れる。
今のはさすがに反則だ。
俺は囁かれた側の耳を両手で抑える。
「何って、涼太にお仕置きしたんだよ。朝、ひなたちゃんの胸に夢中になってたからさ」
それには否定の言葉が出てこない。
別に夢中になっていないがひなたちゃんの胸のことを考えてしまったことは事実だ。
でもこれはやりすぎだろ。
「涼太のバーカ」
姉貴はそれだけ言うと俺の部屋から出ていった。
俺は息を吐きながら床にへたり込む。
「晶の義姉、いろいろとやばい……」
俺はその後悶えて課題どころではなくなってしまった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「兄貴!おっきろー!」
「ぐえっ!」
腹に重い衝撃が来て俺は一気に覚醒した。
腹の上には晶がいた。
身長も伸びてなく俺のよく知っている晶だった。
「おはよう、兄貴!」
晶は無邪気な笑顔を俺に向けてくる。
その姿に俺は安堵する。
「あぁ、お前はこのままでいいよ」
晶は俺の言ってることが分からないとでもいうように首をかしげる。
その姿の方が安心できる。
晶の義姉はいろんな意味で危険だ。
だから晶は義妹でいい。
「おはよう、晶」
じつは義姉でした!? バニショコ @Vanilla4649
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます