第6話 お姉ちゃんにガツンと言わないとね!

 満里奈ちゃん・恋ちゃんがそばにいる中、あたしは女湯の掃除や男女トイレの清掃を行う。いつもの事でも、見られるのは緊張するね。


男トイレに入った時、人と鉢合わせたけどお互い気にしない。ここの利用者は、絶対千夏さんか千春さんに言われてるんだよ。


『いかなる場所であっても、異性が入るケースがある』ってね。だから文句を言われる事はない。ここの利用者は全員エロ好きだし、最初から心配してないけど。



 一段落してスタッフルームに戻る前に、2人に感想を訊いてみようかな。千夏さんや千春さんの前では言いづらい事があるかもしれない。


「満里奈ちゃん・恋ちゃん、見学してみてどうだった?」


「この銭湯、外観と同じでキレイだよね。良いところなのが伝わってくるよ」


「うん、わたしもそう思う」


2人とも好印象みたい。良かった~。


「勝手な事は言えないけど、もしかしたらここで働けるかもよ?」


ここの唯一の不満は同年代がいない事。だから2人がいると嬉しいな。


「それは良いや」


「わたしも…」


あれ? さっきと違って反応が微妙だ。何でだろ?


「さっきのおじいさんみたいにジロジロ見られるのがねぇ…」


下根さんの嫌らしい目が気になったか。今度きつく言ってやらないと!


「わたしもそんな感じかな。女の人は気にならないんだけど…」


女子校にいるからじゃなくて、2人は本当にがあるんだね。女湯だけの銭湯だったら結果は変わったかも?


仮にそうなったら、代わりにあたし・千夏さん・千春さんの不満が溜まるよ…。


「それ以外は本当に良いところだから、たまには遊びに来るつもり」


満里奈ちゃんの言葉に恋ちゃんが頷く。


「そっか…」

これ以上言う事はないし、スタッフルームに戻ろう。



 スタッフルームに戻るために受付に来たあたし達。…千夏さんはおしゃべりを終えたのか、受付内にいる。


「アンタ達、ここはどう?」


早速満里奈ちゃんと恋ちゃんに感想を尋ねたか。


「キレイで良いところですね」


「わたしもそう思います…」


「ありがと! 掃除は玲がちゃんとやってくれるからマジ助かってる」


「そうですか…」


満里奈ちゃんが微妙な顔をするのもわかる。初対面がHの最中だったからね。千夏さんがいくら褒めても汚名返上しにくいか…。


「そうそう、言うタイミングがなかったんだけど今日照達が来たの」


「達?」

照と光さんの2人じゃないの?


「照・光・静の3人。いつも通り貸し切り温泉に入ったよ」


お姉ちゃん、まさか照とHしてないよね? ちゃんと確認しないと納得できそうにない。


お姉ちゃんもあたしも、照にし何度もHしたことがある。今まではそれで良かったけど、照は大学3年だから就活で忙しいはず。


そんな状態で光さんとお姉ちゃんの相手をしたら…。話の内容によっては、お姉ちゃんにガツンと言わないとね!


「そうなんだ。教えてくれてありがとう、千夏さん」


「大したことじゃないから良いって。それより戻るんでしょ?」


「うん」


あたしは満里奈ちゃん・恋ちゃんと共にスタッフルームに戻る。



 スタッフルームに戻ると千春さんが出迎えてくれた。…玲さんはいない。


「2人とも、見学はどうだったかしら?」


「とても有意義な時間でした。ありがとうございました」


満里奈ちゃんに合わせ、恋ちゃんも頭を下げる。


「礼儀正しくて良い子達ね~♪ これからが楽しみだわ♪」


今後の成長って意味だよね? 働くって意味なら、あたしが代わりに言わないと。


「あの…、今日貸していただいた服は洗濯してお返ししますね」


「洗濯しなくて良いわよ。着替え終わったらそのまま返してちょうだい♪」


「えっ? 良いんですか?」


「良いの良いの♪ 千夏ちゃんが言ってたんだけど、女子高生が着てた服は一部の人にとってすごく価値があるらしいじゃない? だからそのままにするの♪」


スケベジジイの下根さんあたりなら、サイズを気にせずに着そう…。案外がある上谷さんもあり得る?


「わかりました…」


「紗香ちゃんも上がって良いわよ♪ 積もる話があると思うし♪」


千春さんの言葉を聴いて、満里奈ちゃんの目の色が変わった気がする。


「そうさせてもらうね」


掃除道具を片付けた後、あたし達3人は更衣室に向かう…。

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