第27話 ナンバーの悲劇
「”雷速”!!」
「うわぁ!?」
「くっ!!」
電撃をまとい戦場を凄まじい速度で駆け回るナンバー。
その速度にメイとリリィは翻弄され、完全にいいように弄ばれている。
一方の俺は周囲に影魔法の罠を張る事でナンバーの動きを制限し、仮にかいくぐって来たとしても、
「そこぉ!!」
「っ……やるっすね」
行動先は分かる。
動きが早くても見切れればこっちのものだ。
動きは早いが単調。
罠の影響でその動きを更にシンプルなものへと変える。
二回、三回と動きを読み続けたナンバーは静止し、呼吸を整える。
「どうした、そんなもんか?」
「いーや、私わかっちゃったんすよね」
「何が?」
「罠のスピード」
そう言うとナンバーは再び加速を始めた。
しかもあいつが向かってる方向は罠をしかけた場所だ。
一体何を考えて……
ズオッ!!
ズオッ!!
ズオッ!!
「ははは!! やっぱり遅いっすね!!」
ほぉ、罠のスピードを見切られたか。
確かに引っかかれば強力だが、影が射出するスピードはそこまででも無い。
それでも対人相手なら十分。
ナンバーのスピードが異常なだけだ。
『マスター、いつでもいけるよ』
「おけ、俺の合図と共にやれ」
「りょうかーい」
と、ライムの方の準備が整ったらしい。
さて、後はナンバーの動き次第だが……
「このまま殺っちゃうっすよー!?」
上手く引っかかったな。
「マズイよ!! このままだとゼクスくんが!!」
「ご主人様!!」
リリィが弓を構え、メイが飛び出す。
だが遅い。
二人が攻撃をする時には、既にナンバーの足蹴りが俺の身体を吹っ飛ばすだろう。
罠を飛び越え、
影魔法の射撃もかわし、
更には影分身の妨害も超えてきた。
「グッバイ、期待の新生さん♪」
そしてナンバーの足が、再び俺の体に蹴り上げられようとした。
ガキィン!!
「いや、まーだだね」
「流石……けど、連続でやられたら流石にアウトっすよねー?」
ギリギリの所でナンバーの蹴りを剣で受け止め、返しに彼女の身体を打ち上げる。
「いや? だってこれで終わりだし」
「は?」
ナンバーにとっては僅か数秒の不自由。
しかし、俺にとってその数秒は。
ジョロロロ……
「へっ!?」
お前に絶望と恥を与えるには十分すぎた。
「ナ、ナンバーが!!」
「お漏らしをしていますね……?」
「ちょ、なんで!? 別に我慢してなかったのに、おかしいっすよ!!」
突然、足を伝って黄色い液体が流れ出る現状にナンバーの動きが止まる。
公衆の面前でおもらしをしたという現実が流石に効いたのか、顔を赤らめながら股間を手で抑えた。
が、おしっこは止まる事はない。
「あの風紀委員がおもらし?」
「それだけ戦いに必死だったのか」
「いい年でおもらしはねぇ……」
「へっ、いやっ……みないで……!!」
周りの人間もざわつき始めた。
見られた事で彼女が感じる恥ずかしさも更にエスカレートし、その場で座り込んでしまった。
「ご主人様、一体何をしたのですか?」
「単純だよ。小さいライムを下着の中に侵入させて水を出した」
「うわぁ……結構えぐいことしてる」
「くっ……ううう!!」
その場で座り込み、地面に水たまりを作るナンバー。
実はライムの分身が俺の袖に隠れており、ナンバーと接近戦を交えている間に侵入させた。
ライムの分身は小さい上に透明化を使っているため、見つかることはほぼ無い。
ナンバーも原理を理解して下着の中をモゾモゾと触りだすが一向に見つからないらしい。
どこ行ったんだ。
「わーい、逃げるの楽しー」
「ライム、そろそろいいんじゃないか?」
「んー、今日一日はこのままでもいいと思うけど」
なるほど、ライムは意外とイタズラ好きと。
結構いい性格してんな。
「さーて、ナンバーちゃーん? おトイレに行った方がいいんじゃないですかー?」
「おのれぇ!! 覚えてろっすよー!!」
去り際の言葉を残して、ナンバーはその場を去った。
途中、水が出続ける下着を捨てて、ノーパン姿で校内を駆ける姿は面白かったけど。
可愛いお尻が丸出しだったし。
そんなこんなで、見事ナンバーら風紀委員を撃退する事に成功した。
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