第5話
こうして体が大きくなった俺は、街へ戻ることを考えたが、元の街に戻るよりも別の街に行った方がいいと考え直した。
とはいえ、どこの街に行くにしても、金が無い。しかし、大人に近い体になったから冒険者になって金を稼ぐことができる。だけど、その前に服が欲しいな。
そんなことを悶々と考えながら歩いていると、いつの間にか男達にとり囲まれていた。
前の男がニヤリと笑ったので、俺は咄嗟に皮膚強化をしながら、しゃがんで俺の後ろに土の壁をせり上げた。
案の定、後ろから剣が振り下ろされ、土の壁に当たって跳ね返された。
その間に前の2人が剣が振り下ろしてくるが、土で覆った棍棒と、左腕に土の手甲を纏って2本の剣を受け止めた。
俺はその態勢のまま、後方の土の壁を崩して散弾として撃ち出した。
不意を突かれた後ろの男は、
「ギャッ」と悲鳴を上げる。
そして、前方の2人には顔を狙ってエアーカッターを撃ちまくった。
「ギャー」
「グワァー」
前の2人は顔を押さえて蹲る。
俺がその一人の頭に土で覆われた棍棒を振り下ろすと、そいつは倒れた。首が変な方向に曲がっている。棍棒に纏わせた土の重さに耐えきれなかったんだろう。
続けて、もう一人の蹲った男の頭にも棍棒を振り下ろし、そのまま前方に駆け出してから、体ごとくるりと回転させて後方の奴を確かめる。
後方の奴は、いきなり土の散弾を体全体に受けて怯んでいたが、剣を握り直して、あらためて斬りかかって来た。
俺は棍棒を大きく振りかぶって振り下ろし、棍棒に纏わせた土の塊を打ち出す。
駆け出していた盗賊は態勢を崩しながら、土の塊を剣で弾く。その間に、目を狙ってエアーカッターを撃ち出す。盗賊が思わず目を閉じた瞬間に突進スキルで、相手に接近して、棍棒の先で相手の顔を突いた。棍棒の先には、土魔法で尖った土の穂先を造ってある。その穂先は、盗賊の顔と衝突して砕け散ったが、盗賊は悲鳴を上げて倒れた。そのまま倒れた盗賊の首元を狙って棍棒を振り下ろす。首の骨が折れて、盗賊はぴくぴくと痙攣し始めた。
瀕死の盗賊達に触れてスキルをドレインしてから、土の槍を創って、突いて止めを刺していく。
3人の男達は、装備や服、武器もバラバラで、そのむさ苦しさから、どう見ても盗賊だった。
こいつらが本当に何者かなんて知らないし、知りたくもない。ただ俺を獲物として見たその目つきだけで、俺にとっては皆殺しにする理由として十分だ。
俺は男達の死体から、服と武具と持ち物をすべて剥ぎ取り、シャツ、ズボン、ブーツを拝借して着込み、剣帯と長剣、革鎧も着込んだ。次に、盗賊がそれぞれ持っていた皮袋に入っていた金を集めて、一つの皮袋に入れて腰に吊るした。最後に、土魔法で穴をつくって男達を埋めた。
剣は1本を腰に差し、予備としてもう1本を背中に括り付け、短剣を腰の反対側に差した。投擲用の投げナイフも腰に差して、残りの装備や服は、やはり土魔法で穴をつくって埋めた。
男達からコピーしたスキルは
剣術1、短剣術1、斧術1、棍棒1、投擲1、蹴り1、踏みつけ1、頭突き1、脅し1、裏切り1、逃げ足1、誘拐1
盗賊だけあって、ろくでもないスキルがいくつもある。特に、誘拐って、何?それってスキルなの?まっ、スキルが増えたし、服と装備、少ないながらも金が手に入ったからよしとしよう。
これでスキルと装備は充実したが、これからどうするか?
俺は、気配察知と聴覚強化を働かせて警戒しながら森の中を移動して行った。
森の中を数日歩いて街道を見つけた。森の中での飲み食いは悪食スキルのお陰で何でも食べれるので問題はない。
街道に沿って更に数日歩くと、見知らぬ街に辿り着いた。
街の門で税金を銀貨2枚取られたが、無事に街に入れた。
宿屋を探して入ろうとしたが、数軒は「汚い、臭い」といって断られた。元々体を洗ってない上に、盗賊から奪った服も洗った形跡がない上に、土と血で汚れているので、相当臭っているのだろう。
最後に、いかにも安宿といった宿で、土間部屋なら泊めるということで、部屋を取ることができた。
しかし、先に裏庭で体を洗わないと部屋に入れないと言われたので、まず裏庭の井戸水で体を洗った。服を濡らすと着るものが無くなるので、服は汚いままで我慢をした。
体と髪を洗って宿屋の受付に行くと、
「部屋は、この奥の土間部屋だ。この割符と同じ番号の場所で寝ろ」と親父。
俺は黙って割符を受取って、奥の土間部屋に入った。
そこは、仕切りも何もない大部屋で、下は地面のまま。その地面に番号が描いてあるので、割符の番号のところに行って、腰を下ろした。
大部屋には、何人か先客がいるから熟睡はできそうにない。
とりあえず落ち着いたので、ステータスの確認しよう。
名前 ダブリン
種族 人間
性別 男
年齢 8
ジョブ 捕食者1(魔物を捕食する者)、進化者2(魔石によって進化する者)
筋力 D+
耐久 E++
俊敏 E++
魔力 E++
抵抗 F+
固有スキル スキルドレイン(接触時) 魔石進化(魔石吸収時)
スキル
飛行1、羽刃1、嘴攻撃1、鉤爪1、風魔法2、警戒1、身体強化1、喧嘩1、威圧1、格闘1、詐欺1、気配察知1、投擲2、噛み付き1、穴掘り1、夜目1、敏捷1、繁殖力1、土魔法2、成長加速1、棍棒術1、悪食1、仲間呼び1、跳躍1、聴覚強化1、突進1、皮膚硬化1、剣術1、短剣術1、斧術1、蹴り1、踏みつけ1、頭突き1、脅し1、裏切り1、逃げ足1、誘拐1
称号 ゴブリンの捕食者
(ゴブリンに対しての攻撃は防御無視になる。ゴブリンからの攻撃はダメージが半減する)
地道にステータスが上がっている。
風魔法と土魔法が攻守ともに実戦レベルで使えるし、剣術1もドレインできた。
『筋力がD+というのはどれくらい強いんだ?冒険者としてやっていけるぐらいに強いだろうか?まあゴブリン特攻があるから、心配はないだろう』
俺はそこまで考えて緊張を解いて眠った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます