第8話 北条家
花倉の乱が終わりを迎えたあと、いまだに北条家による干渉と要求が続いた。
「殿、北条家からの使者です。」
「また、恵探殿のことであろう。知らぬ存ぜぬと言い渡せ。」
「そろそろ苦しくなりますな。」
雪斎がため息交じりの声を出す。
玄広恵探の身柄を明け渡せとこれまで北条家は何度使者を繰り出したのかわからない。
なぜなら北条家も必死であったからである。
今川、武田両家から河越城を明け渡すと伝えられたときの氏綱の狂喜乱舞ぶりは家臣の目に焼き付いている。
だからこそ河越城は渡してもらわないと困るのである。
「殿。これは武田、今川の策略でございますぞ。
もうそろそろお目覚めを。」
「………。」
氏綱は黙り込む。
この時、氏綱の頭の中には様々な策略が生まれていた。
「幻庵殿。」
「はい。」
「武田はよい。だが今川にこう申せ。次の年始めまでに恵探の身柄、または河越城の譲渡をしなければ今川領に攻め込むと。」
「ははっ。」
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