第5話 花倉の乱 2
「申し上げますっ!北条氏康様、北条綱成様、加勢としてご到着!この砦を山ごと包囲し福島勢の後ろから攻撃しておりますっ!」
「皆の者!反転せよっ!北条軍とともに挟み撃ちにせよ!」
義元は獅子吼する。
同刻、北条陣。
「これより義元軍に加勢いたす!狙うは福島越前の首一つのみぞ!攻めかかれっ!」
「氏康様は後陣にて指揮をお願いいたします。」
「承知した。幻庵殿、先陣をお願いしますぞ。」
福島勢の苦戦が始まった。
最悪の場所で挟撃を受け、中でも綱成軍にだいぶ押されている。
福島勢は本丸まで追い詰めた義元勢を先に打ち取ることに決めた。
「後ろの北条軍の攻撃に耐えながら本丸に突入し義元の首をとれ!」
「越前様!」
北条軍の鉄砲がかすめる。
敵味方入り混じりもはや混乱の中であった。
「よいかっ、耐えよ!本丸に行け!」
義元は敵を討ちながら雪斎に問う。
「このあとの手筈は?」
「はい。そろそろ頃合いでしょう。」
その時、狼煙が上がった。
「越前様!新たに東から岡部の軍勢が押し寄せています!」
「わかっている!もうここまでであるわ!誰ぞ三名程度でよい。我とともに死を願う者はいないか?」
その場にいた約百名全員が願い出た。
越前は快闊に笑う。
「福島きっての精鋭共よっ!北条の総大将の首を目指して討ち入れ!武士の名を残せー!」
「こちらに参るかの一団を討ち取れ。」
綱成軍と越前軍が衝突し乱戦となる。
「あの旗指し物が越前だ!討ち入れ!」
「来るがよいわ北条共っ!」
北条兵三人が越前に槍を当てるがはね返され、鉄砲はかわされた。
福島軍は鎧を着た綱成に向かい走り出す。
しかし越前の進軍はここまでであった。
「放てー!」
福島軍の横合いから氏康軍の鉄砲が轟音を発した。
越前は足、頭に数発を受け絶命した。
残りの福島軍は北条軍に突撃するが殲滅された。
福島軍との激戦は終わった。
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