第4話 閑話 見習いの3人組

 アレクサンドリアを手伝ってくれる見習い魔法使いの3人組の、パロとポロとペロ。


 パロ、本名パトローシュは、真面目な堅物。優しい話し方をする。3人の中で一番背が高いが、他の2人が小柄なだけで平均的な背丈。3人の中で一人だけ貴族ではなく平民なのだが、落ち着きがあって仕草が優美で、そしてどことなく偉そうに見えるので一番貴族然としている。


 実は怖がりなのだが顔に出さないようにしているので、周りからは逆に怖いものに強いと思われており、何かあると矢面に立たされることが多い(3人組が夜暗い廊下の先のトイレに行く時など、先頭に立たされる)。


 成績優秀。



 ポロ、ポロロッカは小柄で可愛らしい男の子。感情表現が豊かで、よく泣いたり笑ったりしている。アレクサンドリアが大好き。3人の中で一番年上なのだが、その容姿と幼い仕草で一番年下に見える。


 古くから続く魔法伯爵の家柄で、嫡男だが自由な家風なので、やりたいことを好きにやらせてもらっている。今は見習いとして働いている傍ら主に魔法の研究をしている。


 成績にはムラがあり、得意分野では天才的な才能を発揮するが、他は割とポンコツ。



 ペロ、ペネローシュは普通の男の子。やや小柄だけど、自分より更に小柄なポロのことをとても可愛いと思っている。弟扱いしたいけど、気位の高いポロは子供扱いされることを嫌がるので、表には出さないようにしている。


 侯爵家の長男だが、姉が家を継ぐことになっているため、魔法省に入ることにした。3人の中で一番おしゃれ。少しミーハーなところがあるので、ポロと一緒になってアレクサンドリアについてよく盛り上がっている。(パロはアレクサンドリアを尊敬しているので、あまり騒がない。)




 3人は、それぞれ国立の魔法学校と王立の魔法学園の中等部を卒業して、そのまま魔法省へ見習いとして就職した。中等部卒の見習いも、高等部卒の見習いもいるが、そのどちらも大抵は魔法省を統括する軍部の宿舎に入り見習いとして働き始める。


 彼らがいる宿舎は古くから使い込まれた木造だが、造りがしっかりしていて趣があるともいえるところだ。あちこちに先輩達の落書きやら傷やらが刻まれてもいた。3人だったが運よく4人部屋があてがわれ、都合よく空いたベッドは物置にしていた。


 15、6歳にして家を出たので、大なり小なり心細さを感じながら宿舎に入った3人は、同じような境遇と言うこともあり、とても仲良くなった。


 見習いは他に何人もいたが、アレクサンドリアの部署は人数を必要としなかったため主にこの3人が就いていた。


 そもそも3人もいらなかったが、この部署の重要性を鑑みて、期待の新人を3人何とか就けたというのが本当のところだ。





 そんな期待の新人、見習い魔法使い3人組は、今日も元気にアレクサンドリアのいる部屋に顔を出す。


 作業場は漆喰で塗られた、優しい白を基調とした建物。戸もなく、それぞれの入口部分に人が通れる穴が開けてあるだけ。


 そこに3人、上からパロ、ポロ、ペロと団子のように頭をのぞかせる。(ポロの方が小さいが、気を使ってペロが屈んでいる)


「アレクサンドリア様、今日も美しい!」とポロが言うと、

「もう少しここから眺めていたいね!」とペロが応える。

「いいから、入ろうよ」とパロに促されて入室するのが、いつもの流れだった。


 最初から気がついているアレクサンドリアも3人が入ってきてから、笑いながら「おはようございます」と声をかける。


 4人着席し、穏やかに写本の作業をするのが、彼らの日常だった。

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