第31話 空襲警報 逃げるなら今のうち!


「くっ、イエローお前の死は無駄にしないぜ!」


 続くブルーは【派手】を意識してアピールタイムに入ろうとした。

 その時、一件のメッセージが来た。


『なにしてるの?』


 里美からのメッセージにレッドとブルーがゴクリと息を呑み込み。

 今もさり気なく、というかイエローを盛り上げるために、手榴弾という名の爆弾を投下して場を盛り上げていた二人は考える。


「後で怒られるパターン……な気がする」


 流石は幼馴染。

 言われなくても良く分かっている。


「どうする?」


 その言葉にレッドは一秒だけ迷ったが、漢を見せることにした。


「エリカさんがくれたこのチャンス無駄にできないよな、ブルー?」


 その言葉に。


「あぁ!」


 と答えるブルー。

 まぁ戦闘機がコントロール出来ないので、戦闘機に装備として設置された特製メガホンを使い大声で行われている会話は当然地上にいる者たちにも聞こえている。

 それは地上だけでなく、里美とエリカとマヤにも、なんとなく聞こえている。

 距離があってハッキリと聞こえていないことが幸か不幸か。

 それはすぐにわかる。


「ひとつ! イエローの気持ちを無駄にはしない!」


 ブルーがフラグを立てる。


「ひとつ! 俺は里美を愛している!」


 そんな恥ずかしいセリフを堂々とそれも大声で叫ぶレッドに遠くで聞こえていた里美たちの身体が羞恥心で熱を微かに帯びる。


「あれ? 里美さん照れてます?」


「て、照れてない!」


「あらあら、さっきまで怒ってたのに愛しているって言われただけで体が反応するぐらいに本当は大好きだったのね」


 恥ずかしくてつい素っ気ない態度ばかり取ってしまうが、本当は紅のことが大好きな里美はエリカに強がりな態度を見せる。


「あ、アンタには言われたくないわよ」


 そんなこととは知らずに、


「ひとつ! 今からレッドとブルーで見せるのは!」


 ブルーがお膳立て。


「ひとつ! 本当はエリカさんに大好きだーと言って甘えたいブルーと最近雰囲気でキスしようとしても恥ずかしいからと言って里美にお断りされて傷付いたレッドの俺様――」


 アイコンタクトでせーの!とタイミングを合わせて、


「「俺様究極全力聖槍爆裂ボーイだ!」」


 高らかに。

 大きな声で言ってはいけないことを宣言した。


 別の場所では。


「あれ? お二人共そう言えば最近色々我慢してたみたいですけど……彼の方が限界みたいですよ? 止めるなら今ですけどどうします?」


「……見守りましょう」


「里美お姉様にしては珍しいですね。顔真っ赤ですけど大丈夫です?」


「は、恥ずかしいから解説しないで」


「はーい。ならさっき聞こえた、私だって本当はしたいんだからアンタが雰囲気作ってくれたらリアルで沢山キスしてあげるわよ……って聞こえたのは聞かなかったことにしますね~。それとエリカお姉様の私を陥れて喘ぎ声聞かせて、私の下着姿で彼の性欲刺激して里美さんの目を盗んで無防備な姿見せてお姉様自身を襲わせる計画立ててましたけどその前に彼の下半身が大爆発しそうなんで止めた方がいいですかね?」


「な、な、なっ、なななんのことかしら?」


「へぇ~こっちの世界でむらむらさせて事件が起きればリアルでの抵抗もなくなる禁断の関係から始まる恋が始まるって……言ってませんでしたっけ?」


「そそそんなえっちなこと考える訳ないじゃない……?」


 エリカの冷や汗が凄い。


「そうですか。なら――」


 マヤは神災メンバー全員にメッセージを送る。


『里美お姉様が歌に乗せて愛を。エリカお姉様が身体で表現して。だって。頑張って少年。マヤおうえんしてるからぁ~さ!』


 マヤは紅が居ないことでいつもの話し方を止め、煽った。

 二人は既に羞恥心と葛藤を始めている。

 そう……一番我慢していたのは里美とエリカ。

 里美はエリカに悪いからと気を使い、エリカは里美に申し訳ないと気を使っていた。

 結局のところ我慢していたわけだ。

 だからその我慢をマヤに愚痴った。

 結果――紅の方が爆裂ボーイになって、マヤが面白そうと心を踊らせる展開になってしまった。

 この後の展開次第では里美とエリカも……素直になるしかないかもしれない。


 そう紅のように全プレイヤーにありのままの姿を見せると言う展開が……。







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