第16話 隠れ家ゲット&探索続行
巻物の封印を解く。
『スキル:瞬進』『スキル:遠投』『スキル:透視』『スキル:調合と調剤知識』『スキル:突撃』がそれぞれの封印が解かれ三人の前にウインドウが出現。誰が習得するかの内容で共有ウインドウを見たエリカが提案する。
「はい! これは紅君がいいと思います」
あるスキルを指さすエリカの声に鼻で笑う里美。
「そうね」
二人の微笑みは小悪魔の微笑み。
悪い笑みを浮かべているとわかった紅は息を呑み込む。
「まさかエリカと気が合うとはね」
「奇遇ね里美」
「「うふふ、あはは~」」
子悪魔の笑い声に味方である紅が後退りするがリードを引っ張られ強制的に近くに呼ばれ巻物に封印されたスキルをその身体に継承させられた。
「ぜってぇ良からぬことを考えてる……」
「――――できるわね?」
里美の耳内に大きく目を見開く。
思いがけない言葉は紅の心に太陽の陽を照らす。
心の天候が大忙しで変わる紅にニコッと微笑えむ里美の返答。
「誰が相手でもソレはオッケーな感じですか?」
「うん♪ 師匠相手にも許可してあげる」
「つまり……それは合法で二人的には全面的にオッケーって意味ですか!?」
「うん」
「うん」
二人の返事を聞いた紅はガッツポーズした。
「あはは、えへへ、進化した俺様欲望シリーズの解禁がまさかこのような形で許可がでるとはな……にししっ」
紅はずっと考えていた。
己の速さをもっと活かした戦いができないか。
弓使いだから接近戦は苦手だの、遠距離攻撃が得意だの、そう言った周囲の固定概念は正直聞いていてなにも面白くないと思った漢は己と向き合い新しい業を密かに発明していた。ただしそれには色々と発動条件というか、モラル的な意味で二人の許可なしには諸事情で使うのを躊躇う業が沢山あり今回のイベントで新シリーズお披露目をどうするか迷っていたのだが里美の言葉に安堵した紅はその存在を今明らかにした。
「ん? 欲望シリーズ?」
「なに? そのあまり良いイメージが持てないソレは?」
偶然だがそれを使うための
それは――神災発動の予兆。
まだ
同時に新シリーズ解禁により――当初切り札と思われていた神災竜は既に切り札ではなくなった事実は多くのプレイヤーにとっては悲報でありまだ知らぬが仏なのだろう。
とある滝の奥から紅の不気味な笑い声が聞こえると噂になるのに時間はかからなかった。
■■■
ダンジョン探索を一通り終えた紅たちは一度ダンジョンを出て周辺の探索を始めた。ダンジョンで手に入れたスキルは全部で七個。その中には調合リストもありエリカの活躍の場も増える予兆が見えた。
また攻撃スキルは里美が手に入れ、紅は新シリーズに必要なスキルだけを手に入れと三人は各々の役割に応じたスキルを分配して手に入れたことによって早速戦力強化と客観的に見れば幸先いいスタートが切れていた。
神災竜の頭に乗った里美とエリカの指示に従い紅は河川に沿って歩く。
ぐるる~
お腹が鳴った紅の視線の先に偶然いた鮎の群れ。
「おっ、美味しそう!」
大きな手を伸ばし、紅視点で浅瀬に居た鮎を鷲掴みにして口に放り込んでむしゃむしゃと食べる。
生きたまま丸のみする光景に最早ツッコミは要らないと里美もエリカもそこは気にしない。ただ自分たちの食糧分だけ残しておいてくれればなにも問題がないからだ。
時間経過で出現するポイントでアユ漁を終えた紅は再び里美の指示の元歩き始めた。
しばらく周辺の探索を続け、一通りの情報を手に入れた三人は最初に見つけた滝裏にあるダンジョンの隠し部屋の一つを隠れ家として使うことで野宿を避けることにした。
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