第3話 夢

 ―夢を、見ました。

 私が『勇者』ブレイバーのジョブを授かる前の夢。


『おとーさん!おかーさん!こっちこっち!』

『こらこら走らないのっ。丘は逃げないんだから!』

『ははは、アリアはやんちゃだなー』


やさしいおとうさんとおかあさんとわたしと……?


しあわせだったころのゆめ


あれ…?このあとなにがあったんだっけ……


このあと3にんでピクニックして……それから………


おもいだせない…なにかよくないことがあったような……


おもいだせない……


ゆめをおもいだそうとするともやがかかりゆめがとおざかっていく


なぜかおもいだしちゃだめなきがする……


なんでだろ…?


気付けば自然と目はさめていましたが、肌寒くてマントから出たくないなぁって思いながら包まりなおしたところ―


――突然頭の中でけたたましいアラーム音が鳴りました。


「っ!?はぁ…はぁ…んぅ!ん~~~!

はぁ……あの人たちが起きる前に早く戻らなきゃ」

 伸びをしてからローブをそっと畳むと鞄に詰め込んで街にダッシュで戻ります。

途中門衛さんに見つかりそうになって慌てましたが無事に中にはいれた私は、足音を立てずにそっと宿へと戻りました。

(うー…起きてませんようにー…)

 足音を忍ばせながら祈る気持ちで2階へと続く宿の階段を上るとそこには―

「ほーう?朝帰りとはいい度胸だなぁ?アバズレ。」


 センジさんが既に起きて階段の上で腕を組んで立っていました――

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