第2話 ギルドでの一幕
宿屋でパーティメンバーと別れた後、泊まれる場所の案内を受けるために私は探索者ギルドに向かいました。
ただ、今はもう夕方近くなので恐らく無駄足になるとは思います……。
まああれですよ。こういうのは一応足を運んだという実績が大事なので。
ギルドの前についたので、
「いらっしゃいまっ……せ。探索者ギルドワルツ支部へ。
クエストの受注ですか?素材の納品ですか?クエストの受注でしたらこちらの1番カウンターへ、素材の納品でしたら奥の納品カウンターへお願いします。
もしも泊まる場所に関してでしたら3番カウンターへどうぞ」
受付のお姉さんは私の見た目で一瞬ひきつらせましたが、瞬時に顔を引き締めにこやかに対応してくれました。すみませんありがとうございます。
泊まる場所に関してと案内嬢のお姉さんに伝えると9番の番号札を渡されました。
番号札を受け取った後は呼ばれるまで待つのですが―
ここでもズボンは汚れてない筈ですが一応椅子を汚してはいけないので壁際にそっと立ちながら気配を消す努力をしつつ番号が呼ばれるまで待機を……
(…なんかめっちゃみられてる……)
周りの探索者たちも、きっと私の格好があまりにもみすぼらしいせいなのか遠目からじろじろと観察したりちらちらと見てくるのでめっちゃ居心地が悪いです。
視線を気にしないようにしつつ私は壁私は壁と念じながら順番を待っていました。
「9番の番号札をお持ちの方どうぞー」
「…!」
私の番号が呼ばれたので、これぞ天の助けとばかりにカウンターに飛びつき、無一文でも泊まれる場所を聞きます。
行ってみないとわかりませんがと前置きをしつつ、公営の野営スペースを教えてくれる受付嬢さん。
「ところで、貴女はCランクパーティの方ですよね?
何故お一人なのですか?パーティの方はどちらに?彼らと同じ宿には泊まらなかったのですか?」
あっマズい!ここで揉めるとリーダーたちに迷惑が掛かってしまう。
そうなるとヒーラさんはまだしもリーダーとマジさんとセンジさんにどやされてしまうので急いで切り上げなくては…!
「あ、えと、私は
リーダーに無理言って許可をもらいました。あ、あははははは…」
こ、これは苦しいかな…?
「………そうですか。夜は危ないですから気を付けてくださいね」
私の無理矢理な説明を仕方なしに納得してくれたようでそれ以上は何も突っ込まれずに済み、私は安堵のため息をつきながらギルドを後にしました。
そしてギルドで聞いた公営の野営スペースについたのですが――
―そこは既に宿に泊まれない探索者たちが各々くつろげる程度のスペースしかあいていませんでした。
要するに満員御礼ですね。勿論私の寝れるようなスペースはありません。
(ですよねー。仕方ないですし、門の外で野営できる場所を探しますかぁ…)
やむを得ず公営の野営スペースを後にした私は、気持ちを切り替えて見張りに見つからないようにこそっと門から抜け出し、野営できる場所を見つけて清浄魔法を何回か使って体と服についた汚れを払ってから、ローブに包まって木にもたれかかるように座って眠りにつきました。
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