第7話白猫さんとお話ししましょ4
「どうするべきか、坊とも話してはいたんだよ。私は全てをたたんで、国を出るべきだと話したんだよ。巻き込まれたら、それこそ元も子もないとね。引き際を間違ってはいけないとね。」
ルルさんは苛立たしげにシッポを振って、耳を後ろ足で掻いた。
「坊も悩んでいるよ。商会の仕事をしていると、お得意様やら私らの商隊で、同行している行商人や、取引をしている職人も少なくない。この国から全員引き上げるのは無理だ。紹介をして、引き継ぎをしたりして隣国に行くにしても早くしなくてはいけないからね。立つ鳥跡を濁さずとは言うけどさ、難しいね。」
深いため息を吐いて、立ち上がり私の横に座りなおし、前を向いて言った
「仲間内で少人数でやっていた時とは違う難しさだね。」
私は実体がないため直接触れる事ができないその小さな背中を慰めるように手で撫でた。
触られる感触は無いが気配を感じたのか、そっと体を寄せてきた。
「私たちは、出来ることを出来る範囲でやっていくしかないんですよね、精一杯に。」
そう言った私の背中にシッポを沿わして、ルルさんはしばらくたたずんでいた。
「湿っぽくなってしまったね、急に状勢が変わってね、途惑ってしまったようだよ。歳をとっているのに情けないね。」
そう言ってルルさんは立ち上がって伸びをした。
「仕方ありませんよ、歳をとったからこそ、色々考えて予測して、心配したり、経験があるからこそ考え過ぎて動けなくなるんでしょうからね。」
そう言って、私も立ち上がって、かるく伸びをしてルルさんと一緒に歩き出した。
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