第3話 目的があるような無いような 3

「やぁ、久しぶりだね、ルル」

屋根で日なたぼっこをしていた白猫さん声をかけると、ため息をついたような表情をして返事をしてきた。

「本当に久しぶりだね、名前は決まったかい?」

「名前は難しいね、なんとなくしっくりこなくてね。私を見えた人達につけてもらっても、その時だけなんだよね~」

と、言った私の顔を見て楽しそうに、ルルはニヤリと笑った。表情豊かな猫さんだ。

「しかしルルは、何でこの国の王都なんかにいるのかな?人の多い場所は、苦手でしょう?」

そう言うと、ルルは少し顔をしかめ、ため息を吐きながら、体を起こして伸びをしながら、ぽつりと言った。

「仕方がないだろう、坊の商売のためさね」

「ふ~ん確か坊ちゃんは、魔法使いの隠れ蓑に商売を始めたんだよね!でも、行商と言うか、商隊を組んで移動してると思ってたんだけど?」

そう言うと、屋根に座った私の横にルルが香箱座りで、座りなおして話し始めた。

「それに間違いはないんだけどね、商隊を組んで荷物を運んでるんだけどさ、それだけじゃなくて、大きな町にはそこに商会を作り、商売を始めたんだよ。」

「ずいぶん、手広く商売を広げたもんだね!」

そう言う私を見上げて、またもニヤリと笑うと、ルルはため息のようにこう言った


「仕方がないよ、商売をしてるうちに、成り行きであれやこれや、人と関わっていったら、そうなったんだよ」


私は何だか、普通の人間として生活する事の大変さの一端を垣間見たような気がした。




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