第35話 お兄ちゃんっ!!

定期考査が2週間前という報告をされ、急遽放課後に勉強会が開始された。

まぁでも部活はだいたい1週間前から休みという所が多いので、そんな沢山いる訳では無い。


(正直めんどくせぇ........)


めんどくさがり屋で定評がある俺に、勉強会のモチベなんてあるはずもなかった。

だがしかし、ここで勉強しないと完全にういてしまうのでとりあえず勉強をしないといけないのだ。


(でもここは頭がいい学校な訳だし.....いちいち沙彩とかに聞かなくても自分で分かりそうなもんだが)


この学校に入学出来ているということは大抵中学校では学年10位ぐらいに入るような奴らだしな。

でもまぁ.....わかんない問題はわかんないか、問題集もレベル高そうだしこれ。


(というより......他のクラスの奴らうるさいな、ガチで)


俺たちが今勉強している場所は教室やファミレスとかでは無い。

この学校にある図書室だ......そしてきっと他のクラスもテスト2週間前ということを伝えられたのだろうか、俺たちのクラス以外にも他クラスが大勢いた。


(あの男子......ガチでうるせぇな。女子が悩む素振りを見せたら勝手に教えに行ってるし、バカデカい声で。)


確かあのクラスは5組だったはずだ、俺の中であそこは問題クラスとして無事に五組は昇格した、良かったね。


「なぁ四季、ここの問題教えてくれないか?」

「ん........?」


.....名前はよく覚えていないが、俺に教えて欲しいと期待の目で頼んできた。

まぁなんとなくこうなる気はしていたけどな。


(ここでももう沙彩の影響が出てきてるか.....うへぇ、中学と全く同じ状況だぜぇ)


きっとこいつは、沙彩の幼なじみである俺をこの学校で2番目、もしくはそれに近い学力の存在だと決めつけているのだろう。

出されている問題は数学で、数学を比較的得意な俺ならなんとなく分かりそうな問題だったが......


「わりぃ.....俺は沙彩みたいに頭がいいわけじゃないんだ、他をあたってくれ」


教えようと教えることが可能だが俺はそれを選択しない.....だってめんどくさいから!!!

それに加えて間違えて高3で習う公式とかを使って閉まったらめんどくさい状況になるのは明白だしな。うん、しょうがいない!


「そっか.....ごめんな、偏見は良くねぇよな」

「しょうがねぇよ、中学でもいたしな」


彼はごめんと一言言い残して別の人に教えてもらおうとしに来ていた。

だがやっぱりこのクラスは良い子が多いな.....断られたら普通多少は嫌そうな顔を見せそうなもんだが、あの子はそんなことを顔に出していなかった。

......中学では真反対だったよなぁ。


『わりぃ.....俺分かんねぇわ』

『あぁ.....っち、そうか。悪かったな』


中学の時に聞いてきた奴は明らかに俺が教えれないのを不機嫌な表情で、何なら舌打ちまでしていたからなぁ。

まぁ俺はちゃんと大人の対応をしたさ.....決して殺意をこっそり彼に向けてたとかないからね、うん。

まぁでもその後・・・・・


『あ、双葉くん。そういえばあの人退学したらしいよ』

『あの人......もしかして勉強会の時の?』

『そうそう、その人』

『へぇ.....なんでなんだろうな』

『さぁ.....?まぁ、天からの罰でも食らったんでしょ♪』


そんなことがあり退学していたが.....さっきの子は大丈夫だよな??....あの子良い子そうだし、大丈夫でありますように。


「ねっ!!お兄ちゃん!!」

「あん??」


いきなり俺のことをお兄ちゃんと言ってきたやばい人───片野さんが俺に話しかけてきた。彼女は彼女によく似合っている金色の髪の毛を耳にかけながら、ニヤニヤとした顔をしていた。


「どしたのぉ??お兄ちゃん??」

「お前の頭の中が心配だよ、本当に」

「ひひっ♪辛辣だねぇ!!」


彼女は心の底から面白そうに笑っていた。

それにしてもこんな片野さんが俺のことを一目惚れねぇ.....どうしてそんなことが起きるのやら。

さっきは片野さんの頭の中を心配したわけだが、案外この人は妹ポジションが似合っているように感じてきたぜ。


「んで??何の用なの?片野さん」

「今は勉強会だよ?頼むことなんて、一つだけだと思うけどなぁ?」

「勉強を教えてほしいってか??」

「そうそうっ、その通りだよワトソン君!!」

「頭悪そうなお前がそんな言葉使うなよ」

「そこまで言われるのは想定外だったよワトソン君」


何故だろう──────この人とはあまり関わりはないはずなのに沙彩と話す時みたいに遠慮のない言い方をしてしまう。


「しょうがねぇな、頭悪い奴はしっかり耳の中かっぽじっとけよ?」

「じゃあ私は普通のままで聞いてるよ!!」

「あん?おめぇのことだよ」

「デリカシーの欠片もないね!!??」


片野さんとの会話をどこか懐かしいと思っている自分がいるのだ。

この時の俺はなぜこんな事を感じてしまっているのか。

どうして沙彩と同じくらいこいつのことを──大切な存在だと感じてしまっているのか。

この時の俺は、その理由は全くわからなかった───後であんなことになるのも知らずに。




▽▼

俺は片野さんに勉強を教え終わり、一人で勉強を再開していた。

あいつとの勉強で自分に知識が不十分なところがあったため復習していた。


(うーむ......やっぱりたまに俺の知らない歴史があるんだが)


そう......俺は歴史を勉強をしていたのだが、僅かに年表の違いや俺の知らない出来事があったりするのだ。

この事は中学の時からずっと考えていた───この世界はほんとに転生する前の俺がいた世界と同じなのかとかな。

まぁ......わかんなかったから考えるのは諦めたけどな。


「双葉君?さっきは随分とお楽しみだったよねぇ??」

「勉強教えろと言われたから仕方ないだろ?」

「いつもの君ならさぁ・・・・まぁいいや」

「なぜナチュラルに俺の足を踏む?そしてふつうに骨折しそうなんだけど??」

「理解はしても納得はできないんだよねぇ」


こいつは理不尽だぜ......当たり前のように俺の足を壊そうとして来てる。

俺の幼馴染怖い☆


「......このまま足をぶっ壊してずっと私から離れられないようにしたい」

「なんか今とんでもないこと言ってなかった??」

「気のせい気のせい♪」


沙彩はそんなことを言いつつ、俺の方に顔を向けた状態で、俺の膝に乗ってきた.....ん??


「何してんの?沙彩ちゃん??」

「スキンシップだよぉ?私たちなら当たり前だよねぇ」

「ふーん.....?」


俺はなんとなく恋人つなぎをするという反撃をしてみせる。

だけど沙彩は・・・・・・


「どする?このままやっちゃってもいいよ、私は」

「みんなの前でヤル趣味なんてねーんだわ、それも初体験を」

「そっかぁ......まぁ私も君にしか裸は見せないと誓っているからね、しょうがないか。」

「お前昔のクールビューティというのを失ってるぞ......」

「君が悪いんだよ、色んな雌をたぶやかすんだから」

「そんなことなと思うが......あ、でもその理屈でいくと嫉妬ってことか?かわいいじゃないか」

「悪いけど私はそんな言葉でやられたりしないんだよねぇ♪」



そしてそのまま俺と沙彩は一切周りの目線を気にせず、そして勉強もせず、イチャイチャして終わった。

いやマジで俺がここに来た意味を教えてくれ・・・・・・。




あとがき

個人的に片野さんと沙彩ちゃん分かりにくいから片野さんの一人称を「私」から「あたし」に変えようかなぁって思ってるんだけど・・・どうですかね








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