第34話 学生たちが絶望する二週間
「さて、しっかり勉強しているものは気づくだろうが君たちに報告だ」
「報告??」
「しっかり勉強......?」
朝のホームルームの時間にいきなりそんなことを言ってきた。
勉強しているものは気づく......そして6月といったら......え、もしかしてもうそんな時期なのか。
「さて、高校に入学してからもう二ヶ月が経った。この学校の生活に慣れ、緊張感もなくなってきただろう」
まぁそりゃあ当たり前だよな......という反応があちこちで見られる。
陰キャの俺も溶け込めてるぐらいだ、このクラスにはいい人しかいないため、俺のような陰キャでもなんとかなるのだ。
......まぁ沙彩らへんの美女に対するファンクラブが出来たというのは噂に聞いたが、無視しておこう。
「というわけで君たち──今週からテスト二週間前だ」
「「「「「へ......?」」」」」
そう、中学生の時もそうだったのだが.....入学してから二ヶ月や三ヶ月がたつ頃に前期中間試験がやってくるのだ。
先生はニヤニヤしていた......絶望する生徒たちの顔を見てだ。
この期間過ごしてきて分かったが、この先生。かなり性格が悪い。
いや、いい人ではあるんだが...人の不幸を蜜の味とか思ってそうな性格である。
「すっかり忘れてたわそんなの」
「だるすぎでしょ~......」
「中学生の時ずっと勉強してたんだし、ノー勉でどのくらいとれるのか試すのもありだな」
大半の人は忘れていたり、知ってはいたが現実逃避する人のどっちかに分かれていた。
おいおいそれでいいのかこの公立高校......まぁ俺も忘れてたんだがな!!
・・・・ていうか一人とんでもないこといってる人いたな。
「やば~い、受験終わってから全然勉強してないwww」
「だよな、俺もだぜー」
「私も私も~」
という感じに勉強してないよぉという声が色んな所から聞こえてくる。
どうやら勉強していないというのがほとんどらしい......まぁそんなもんだよな。
勉強と友達との遊びのどっちを優先するかってなったら、そりゃあ友達だし。
「まぁ何とかなりそうじゃね?」
「どうせ中学のとこにプラスαする感じでしょ?」
「まぁ前期中間試験なんてそんなもんじゃね???」
「それだったら楽勝ね」
定期考査の範囲はどのへんなのか予想していたり、その予想を元に大丈夫かそうでないのかを話し合っていた。
ちなみに俺は人生二回目であるため、大体この辺だろうなぁと予想をすることができる。
まぁ定期考査は学校によって違うがな。
(それにしても.....懐かしいなぁ、この感じ)
定期考査前は大体こんな感じな反応になる。
高校最初の定期テストって大体みんなやる気でてないんだよな、後期中間から始真面目にめる人だっている。
そんな光景がどこか懐かしかった......あぁでも、昔はそんな奴らをとある理由で冷めた目で見てたっけな......
(でもまぁ.....高校受験って不思議だよな。基本みんな勉強が嫌いというのは同じなのに、テストの結果は違うということが)
結果をどれだけよくするかは、結局自分の努力次第.....だから高校でも偏差値に差が生まれる。
まぁたまに才能がとびぬけていて、努力しなくても何とかなるやつがいるが、そいつらは例外である。
(けどまぁ、正直俺もそんな勉強したくないんだがな)
そりゃあ当然俺は面倒だと思い、とても勉強をサボりたい気持ちでいっぱいだ。
だが現実はそんな甘いことを考えてはいられないんだがな。
「ちなみになんだが......この学校は各クラスのトップ5が貼られるだけでなく、点数が悪かったワースト5も貼られるからな」
「「「「「は......???」」」」」」
......ほえ?
いや上位者を貼り出すのはいいと思うのだが......え??今なんて言った???
「どうやらこの学校は仮にも偏差値が全国でも上位に位置する高校だ。そしてこの時期は怠ける人が多いだろう......ということで、君たちの年で実験してみようということになったのだ」
「わっ......ワースト??」
「あぁそうだ。別にその順位だからって、赤点じゃない限り補習とかはないが、貼り出されたら......どんな気持ちなるんだろうな」
いやそりゃあ......自分を嫌う気持ちと恥ずかしい気持ちしかないでしょうよ。
先生周りの生徒を見てください......色んな所から絶望の表情が見えていますよ。
そんな反応を見た先生は.....すっごいニヤニヤしていた、それはもう、気持ち悪いぐらいに。
「まっ、諸君はぜひテスト勉強に励んでくれ....私からは以上だ。ホームルームを終わる」
そうして絶望のホームルームが終わったのだが.....今日の放課後はすごいことになった。みんながみんな.....沙彩に勉強を教えてほしいと懇願しに来た。
「勉強教えてよ!!天海さん!!」
「あなたが頼みの綱なのよ!!」
クラスの女子たちは一斉に沙彩に話しかける......今までの沙彩なら断っていたと思うのだが......一瞬ニヤッとした表情をしたのを俺は見逃さなかった。
そして沙彩は目線をよこしてきた。
(どうする??勉強会開く?)
今まで一緒にいたからこそその視線が何て言っていたのか、手にとるようにわかった。
俺はとりあえず───有希たちの方を見た。彼女たちからの様子から.....沙彩の判断に任せるということなのだろう、だから俺は。
(やろうぜ、勉強会)
そんな視線を送り返した、きっと彼女ならすぐにわかってくれるだろう。
そんな俺の視線をみた沙彩は顔を一瞬だけ緩ませて。
(おっけ~、ちゃんと双葉君も来てよ♪)
そう俺に返答してきた。
そうして彼女は女子たちにいいよとOKを出し、準備をし始めた。
さてさて、この高校初めての勉強会......どうならことやら。
あとがき
・・・ふぅ、久しぶり
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