第32話 嫉妬の沙彩
入学式後の休みが明け、やってきた月曜日。
学校生活を過ごしていくと休み明けの日っていうのは大抵学生諸君にとっては一番嫌いな日で有名だが、新しいクラスや、入学したてとなると、話が変わってくる。
ましてや俺ら中学生から高校生になったばかりである。
結構楽しみにしている人も多いんじゃないだろうか。
「それじゃあ学校に行こうか、双葉君」
「あぁ、そうだな」
そして俺は中学の時と変わらず、沙彩と登校をする。
まぁ幼稚園の時からずっと一緒だったわけだし、急に別々に行っても違和感しかないからな、当然だろう。
「今日は初っ端から体育とかだるいよねぇ」
「まぁな......だが噂で聞いた話だが初回の体育は何してもいいらしいぞ」
「私の相手になる人がいないじゃん」
「いやまぁそれは...ねぇ...」
沙彩の運動神経についていける高1なんていないだろ......こいつ、軽く腕一本で人のこと体育館の端から端まで投げることができるからな。
そんな奴についていけるんだとしたらもうそれは、やばい。うん。
「そんなことより、友達作れそう??」
「.......怜と要がいるんだ、そんなの作るだけ無駄だろ」
「ほへぇ、まぁすぐ作れると思うよ。私と仲良くなれたんだから」
「それはまぁ、そうだな」
高校での初友達は一体何時になったら作れるか検討もつかないが、あの自己紹介の感じだとみんないい感じの人そうだったし、大丈夫だろう。
「......私としては、片野凛ていう人はあまりおすすめしないけどね」
「ん?なんでだ?別に悪い子って気はしなかったが」
「なんというか、嫌な予感がするんだよねぇ」
「.....それは沙彩が疑いすぎなんじゃないか?初日で全部わかんないだろ」
「それはまぁ.....そうだね。気にしなくていいよ」
沙彩は少し顔をしかめたが、すぐに顔を戻した。
(だが沙彩の勘は結構当たるからなぁ......念の為警戒しておこうか)
俺は登校中に気を引き締めて、学校に向かうとしよう。
▽▼
「おぉ...初日の時点でそんな気はしていたが......これは」
「なんと......素晴らしい」
「でかい.......体操服だとしっかりわかる」
この空気を目の前にしてしまうと、俺の中のそんな警戒はすぐに吹き飛んだ。
今日は初日で普通猫をかぶると思うのだが、俺のクラスはそんなことなどしていなかった。そんな状況にため息がついてしまう。
もうね……でっかいのよあれが――二つの揺れるアレがさ。
体育は二組との合同になり、とてつもなく広い体育館の中で俺たちは体を動かしていた。体育館は流石名門校、かなりでかかった。
「……デカい」
さて、話を戻そう。
男子たちの視線を掴んで離さない女子の名前は片野凛――今となってはすっかりこのクラスのアイドル的な存在になってる人だ。。
「ナイス片野さん!」
「うますぎ!!!!!」
「いえ~い!!」
今女子はバスケットボールをしている。
そして基礎連はつまらないということで試合をしていたのだが、バスケというのはシュートの時に結構ジャンプをする。
だからこそ、彼女の大きい胸が揺れていた
(でもまぁ......おれには沙彩がいるからな)
俺は彼女に匹敵するほどの可愛くて美人な、有希や沙彩という規格外の存在の笑顔をたくさん見てきた.......だからこそ、俺が彼女に見惚れることはないだろう
「お~い、双葉交代してくれ~!」
「分かった~!」
さて、そんなバスケで盛り上がる女子たちだが、俺たち男子はバレーやバスケではなく、バドミントンだ。
さっきまで体を動かしていたチームメイトと入れ替わり、バドミントンの経験はそこまでないが、何とかなるだろうと自分を信じる。
「......ふぅ」
ひと段落ついた俺は次の人に交代を言い渡す。
そしてコートの外に出た俺はちょうど体育館の真ん中……男女の間を分けるネットの部分に腰を下ろした。
「あ、お疲れ様~!!」
「あぁ」
彼女……沙彩がそこに座っていた
沙彩もさっきバスケをしていたばかりなのか、少しだけ汗をかいていた。
同じ休憩組み同士、俺らは雑談をする。
「あ、そういえば双葉君」
「んん?どうした?」
「随分と......片野さんの方を見ていたね???」
「......なんのことだ」
やっべ......ばれたかもしれない。
俺は顔には耐性があるが、胸に耐性があるわけじゃないのだ、童貞だからな。
だからこそ今彼女のことが見れない......だってさっきみたら目だけで人を殺せそうだったんだもの。
「男の子ってほんとにお胸が大好きだよね」
「......生理現象だもの、仕方ないやん」
「~~~~っ、はぁ.......まぁいいよ」
おっと......?さっきまで俺に向けられていた殺意の目が消えた。
どうやら俺は許された......と、思う。
「まぁ、女子軍も見てたんだけどね」
「え、そうなのか?」
「......認めたくないけど、彼女は私と有希と同じように高校生離れしたスタイル、顔......そりゃあ人を魅了するよね。それこそ君みたいにさ」
「.......ごめんやん」
「まぁ別にいいよ、女子たちは男子にバレないように彼女の胸をもんでるやつもいたし」
いやそれは......いやまぁ、女子だからこそ許されるのか、あぁいうのは。
それにしてもなんか、また沙彩のやつ俺のことを瞬きもせずずっと見てきてるが、一体なんだろう?
「なぁ、沙彩─────」
「ねぇ双葉君......私の胸はどうなの?」
「はい......?」
沙彩がいきなりそんなことを話しているからか、それとも単純に彼女に魅了されたのかわからないが、俺は沙彩の胸をガン見してしまう。
彼女みたいに大きいわけじゃない.....だけど小さくもないその胸を見てしまう。
「ふふっ......双葉君のエッチ~♪」
「いや、今のは仕方ないだろ!!!」
「全く君は可愛いねぇ......で、どう?」
どうって言われても......正直わからない。
だって彼女の魅力は胸だけじゃないというのに。
「あぁ......可愛らしい胸なんじゃないか」
「んーーー、それだけ??」
「だって.....沙彩の魅力はそのスレンダーな体が.....えろいというか」
「へぇ......いいこと聞いちゃった♪」
「やっぱ今のなしいぃぃぃぃ!!」
「無理無理ぃ、返品不可能だよぉ」
沙彩と双葉はじゃれ合う.....双葉は沙彩の頭をぐしゃくしゃとしている.....いや、あの力加減じゃ撫でているといっても過言ではないと思うが。
そして沙彩はそんなことをしてくる彼の手を拒絶なんてしない──だってそれは死んでもずっと一緒にいると決めた彼の腕なのだから。
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