第31話 沙彩と有希の愛

「はあ、双葉君の全てが欲しい......ずっと一緒にいたい....愛して愛して愛して私しか考えられないようにしたい」

「今回の独り言はずば抜けてイカれてるねー、沙彩ちゃん」


沙彩は学校終わりに家でくつろいでいた。

だが、今日は母の仕事が休みなので母親と二人で過ごしていた


(冗談で出てくる言葉じゃないんだよね〜)


「そういえば今更なんだけど、双葉君のどこが好きなの???」

「え?すべてだよ?頭の髪の毛から足の爪先から垢まで全部。」

「性格の話だよ!!!」


そう、あくまで聞きたかったのは双葉の何処に惹かれたのかということだ。

体のどこが好きかだなんて聞いていない


「双葉君の発する声を聞くだけで希望がない世界を生きようって気持ちになれるんだよね」

「おかしいな、会話が成立してない」


繰り返し言おう......あくまで性格の話をしているだけだ。

そんなぶっ飛んでいる会話を聞くためじゃない


「そうだねぇ......好きすぎて言葉で言い表せられないかなぁ」

「そうなんだねぇ、沙彩ちゃんほど愛がある人はいないかもね」


沙彩が何かを思い出すかのように話す


「いやでも、最近有希が私と同じ世界まで来てることには驚いたかな。

状況次第では私よりも危険だよ」

「自分が危険なことは自覚しててよかったよ」


家族だからこそ知っているが、たまに双葉のために犯罪すれすれのことをやっている姿を見てるからこそ、母親として心配していたが、自覚しているならよかった。

......よくないけど。


「そんなことはどうでもいいんだけど、ほんとにやばいんだよ。

やると決めたら一直線でやばいんだよ!!」

「へぇ、たとえばどんな感じなの?有希ちゃんは」

「あれは有希とちょっとした話をした後のことなんだけど......」


そうして、沙彩はしゃべり始めた。

2人の愛の重さを.......


・・・・・・


「沙彩はいいですよね。双葉様の相棒というポジションで、そしてずっと一緒にいられるんですから」

「私も最近は忙しくてあまりしゃべってないんだよ〜」

「私はもっとですよ、全然双葉様に会えていない。というより」


沙彩は見た.......


「最近思うんですよ、私のところに来てくれるけど殆ど別の要件で私に会いに来てないって。それってつまり私なんて所詮沙彩の隣にいる女程度の認識なんですよね、沙彩は双葉君の家に行ったり、呼ばれたりして一緒に居られるのに、なんで私はダメなんでしょうか。陰ながら支えるとは決めましたけどね??。私も双葉様と遊びたい、愛されたい。独占してほしい。私をいっぱい可愛がって欲しい。私なんて呼ばれてないのに沙彩に付いてくる犬でウザイ奴なんですか?こんなに愛して、こんなに尽くしてるのに。でも別に、犬程度に思われるくらいならいいんです、私のことを見てくれてますからね。でも、モテ期なのか知らないですけどいろんな子を口説いてるんです、無自覚で。はぁ、どいつもこいつも邪魔です.......いっそのことわたしが

社会的に消してしまいましょうか.......」


沙彩は有希の気配が恐ろしく感じてしまった。

このまま話を続けていたら間違いなく有希は暴走してしまうだろう、だからこそ沙彩はいきなり話を変える


「有希は双葉君のどんな所が好きなの??聞いてなかったけどさ」


有希はそんな沙彩の質問を聞いたら、まるで待ってましたと言わんばかりに、頬を赤く染めて、長々と話しだした



「双葉様の何処が良いって、もちろん全部で全てを愛しているんですけど、強いて言うなら、双葉様を構成するパーツ全てですね、だから双葉様の一部だけでも凄く好きですし、一生世界の宝物として持ち歩けると思うんです、双葉様の存在自体がこの世の幸福をすべて集めたような存在みたいなものでありますからね、それに感謝して双葉様を見たらもう身体の神経すべてを使って、魂すらも使って、双葉様を堪能するって決めてるんですよ、だけど最近双葉成分が足りなくなってきてて欲求不満なんです、それなのに、いつもいつも沙彩からは双葉様の匂いだったり、幸せな記憶だったりを持っていつも幸せそうに話してきて、凄く悲しいんです、、つい一人で双葉様のことを思いながら自慰行為をしてしまうぐらいには。

ですが、そんな彼の話を聞けるというのもまた快感です、そんな彼に関しての記憶、思い出、物を全てが愛おしいです。」


もし普通の感性をしている普通の人だったら有希のこの話にドン引きし、なんなら軽蔑をしてしまうだろう。

だが沙彩は有希の熱い双葉への思いを感じ取り、嬉しくなってしまった。


「いいねいいね最高じゃん!!!、彼に関するものは全て双葉君を構成する愛すべきパーツ!その言葉に感銘と嬉しさを感じたよ!!私と同じ領域にたどり着いてる人が有希だったとはね!嬉しいよ!!」

「彼のことを詳しく知るまではたまに聞く沙彩の彼への思いを聞いてドン引きしていましたが、今ではわかってしまいます!」


沙彩はうれしかった、自分の思いと同等の人がいたことに。


・・・・・・


「まぁこんな感じかな、私と同等なんだけど、あの子は私よりも自分の想いに一直線だから私は別に特段危険というわけじゃないよ」

「......どっちも悪い意味でこわれてるよ、何が自分と同等のものがいるからって危険じゃなくなるの~。母はたまに昔の沙彩ちゃんが恋しく感じるときがあるよ」

「だって、有希が話す内容は私が知らない彼への思いがたまにあるからね。

私たちの愛は全然カンストしてないんだなっていつもいつも感じちゃってるよ」


沙彩はそんな愛が重すぎる話をして、いきなり部屋着から綺麗な私服へと着替える


「双葉君への愛を話してたら物凄く会いたくなっちゃった!!今ゆっくりしてるだろうし、行ってくる!!」


沙彩は光よりも早いんじゃないかという速度でそのまま部屋を後にし、双葉の家へと向かっていった。


「世界最強のヤンデレが手を組む......それも長年一緒にいた友達.......最悪のコンビができちゃったね」



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