第30話 双葉君をときめかせたい沙彩ちゃん

「じゃあまた明日な!!」

「おう!!また今度誘ってくれ」

「任せろ、俺らは三人組だからな」

「なんだよそれ......」


怜と要とまた明日と別れを告げて、あの二人は帰り道を辿っていく。

入学式である今日は、先生が軽くこれからのことについて話して終わりなのだ。

だから、俺はあの二人に映画でも行かないかと誘われたわけなのだが、俺は断った。


「あの二人について行っても良かったんだよ?」

「そうですよ、私達についてくる必要はありませんよ」

「君たちは一度過去を振り返ろうか」


二人は、あははと笑ってごまかしているが......俺はこの二人に誘われた感じである。

最初俺は怜と要についていくつもりで話していたのだが、この二人が乱入してきた。


『あ、ふたりとも双葉君のこと借りるね~♪』

『一生借りますね~』

『は!!??』


いきなり俺は沙彩と有希に肩を引っ張られて、この二人と対面する形となった。

ていうか今、肩の骨が外れそうだったぞおい......とんでもねぇ。


『とりあえず私は沙彩と買い物に行くつもりなのですが』

『おぉいいぞ、俺なんて無視して行ってこい』

『え?』

『あん?』

『いえ、あなたも一緒にですけど?』

『いやだから俺は.......』


こいつら俺らが話してる内容聞いてなかったのか?......いや、このふたりも近くにいたから嫌でも聞こえてくるはずだ。

ということは知ってて誘おうとしているのか......?


『ん?あぁ、あの二人のことは無視して私たちと共に行こうということなんだけど』

『なんでだよ意味わからん』

『え?君に拒否権なんてないからね?』


沙彩さんはいきなりハイライトのない目で言ってきた......いや怖いって。

だが、あの二人との約束を守るわけにはいかない


『悪いな、俺は』

『......拒否したら双葉君のおかず全部お母さんにばらすよ』

『あっ、怜と要?今日やっぱ無理だわ~』

『何があったし!!??』


結局俺は沙彩と有希について行くことにした。

悪いな二人とも......自分の生命線を守るためなら俺はお前らとの友情はすぐ裏切るんだ、ごめんな。


「よーし、それじゃあレッツゴー♪」

「はしゃがないで下さいよ、沙彩」

「まったくだぜ」


そうして俺らは学校近くの大きなデパートに来ていた。

さっきからあっちこっちに走り回っている......このふたりのせいでな。

次はこっち~とか言って、かれこれもう二時間たっている。

一体いつ帰れるのだろう.......陰キャにはとても厳しい。


「あ、そこで愚かで無知でフラグ一級建築士の双葉君」

「急な罵倒をどうもありがとう、沙彩」

「その場合だと私がSで君はMでいいでしょ?」

「そんなことあってたまるか.......で、なに?」

「あそこに服屋あるからそこに行こう?」

「ん、いいぜー」


そうして俺らは服屋に入っていく。

ざっと見渡してみると......男性物から女性ものまで、かなりの種類の服がおいてあった。

気づいたら二人とも隣から消えていた......あのふたりも女子だ、気に入るものがあったんだろう。


(ん?あれは有希か......早すぎだろ選ぶの)


この店内に来てからまだ数十秒しかたっていないというのに。

有希は真っ直ぐ俺のところに来た。


「二つで悩んでいるのですが、選んでもらえませんか?」

「ん?あぁ、いいぜ。どれだ?」

「こちらの下着(大事な所丸見えのやつ)とこちらの下着(大事な所透けてるやつ)どちらがいいですか?」

「なぁ有希、俺は君が沙彩に浸透されていくのを見たくないんだけどな!!?」


おいおい沙彩.......あいつ、有希と普段なにを教えてやがるんだ。

お願いだから清楚枠ヒロインって大事だと思うんだ。


「何というか.....双葉様に出来ることってこれくらいだと思ったのですが」

「ん......?」


有希は急にぶつぶつ小さな声でしゃべりだした。


「双葉様の隣には既に人間とは思えない知能と運動神経を持っている沙彩がいる......そんななか、双葉様に恩を返すためには彼を傍で見守り、所有物になって、ただの性への吐き口になるくらいしか.......」

「有希さーーん??」


有希は急に一人でしゃべりだしたらと思ったらなんかやばそうなことをずっと喋っている......こわいって急にそんなことされたら。


「あーあ、私と話したときにその奴隷モードになるのはやめろって言ったのになぁ」


この場の救世主である沙彩がやって来た。


「ごめんごめん、私がこの子を戻しとくね 」

「お、おう......?」


どうやら沙彩は有希を元に戻すやり方を知っているらしい。

この言い草からして前もこんなことになったのか?......昔はそんなことなかったのだが。


「あ、双葉君は私が似合いそうなやつ選んどいて」

「.......はい?」


どうやら俺は......問答無用で選べということらしい。




▽▼

「あぁ....オワッタ.....」

「そっ、そこまででしょうか...?」

「まぁ双葉君は自分のセンスに自信がないからね~....けどまぁ、たまには双葉君のことを女の魅力でときめかせたいからねぇ、我慢してね」

「まぁ別にいいんだけど...期待するなよ?」

「ふふ、なんでも着こなしてあげるよ♪」

「全く、舐めないで欲しいですね?」


大した自信だな、こいつら。

まぁそこまでいうのなら自分の勘に身を任せ、選ぼうじゃないか。

せいぜい自分の身を滅ぼすなよ??



「おっ!結構いいセンスしてないかな?」

「そうですね、私たちの個性を引き出すような服です」

「....もしかしてセンス大丈夫だった?」

「聞くよりも見た方が早いでしょう。少し待っていてください」


と言い、2人とも着衣室に向かっていった。

センスって言っても正直わかんないんだよな...、こればかりは。

適当にスマホをいじっていたら、カーテンが開かれた。


沙彩は黒い服で、セミロングの綺麗な銀髪を輝かせ、紫色の瞳がいい味を出していた。

有希は急いでセットしたのか、黒色の綺麗なロングヘアに、触手の所を編んでおり、服は落ち着いた色で、彼女の性格を映しているかのようだった。


「どうかなどうかな、双葉君?」

「.....2人ともよく似合っているじゃないか。とても可愛いよ」


そう言われると沙彩は「いひひっ...!」と、いつもと違った笑いをしながら頬を赤らませており、有希は当たり前といった表情をしていた。


「この服、気にいっちゃいましたね。買っちゃいます??」

「双葉君が選んでくれたのを買わないわけないよねぇ!」

「ふふふっ♪沙彩は相変わらず双葉君のことが好きですね」


と言い、2人とも会計に向かっていった。

どうなることかと思ったが......まぁふたりがよろこんでくれてよかった。



あとがき

沙彩の髪の色チェンジ

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