特別編 バレンタインデー
時系列は気にしないでね!単なる思いつきだから!
......これは、冬休みが終わり一か月ほどたった日のことだ。
冬休みから勉強を始めた俺はとにかく焦っていた、いくらアドバンテージがあるからといっても受験前に勉強していないのは流石に焦ってしまっていた。
だがそれでも......イベントというのは俺たちのことをいざ知らずにやってくるものだ。だから、一月が終わり二月となって、俺らはバレンタインデーを迎えていた。
バレンタイン......心を躍らせる人も少ないんじゃないんだろうか。
心が踊っているのはまぁ俺も同じで、毎年俺は沙彩からチョコを貰っているから、今年ももらえるのか少しドキドキしていた。
だって今年は受験期......あげない人も少ないないだろうからだ。
それに今日朝、少し沙彩からもらえるんじゃないかと楽しみにしていたが、案の定もらうことができなかった。
「......あっ、そういえば今日はバレンタインデーじゃ~ん」
「あぁもうお前から言っちゃうのね」
「なんかダメかな~?」
いやなんか......男子の俺から言うのもあれかなと思って言わなかったのに、沙彩ははっきりと言ってくるんだよな。
「......なんだ?お前がチョコをくれるのか?」
「チョコね~......毎年あげてるから今年は別にいらないかなぁ.....って思ってたんだよね。もしかしてほしいのかい?」
「い、いや?別にそんなんじゃねぇよ?」
「ふ~~~ん.......じゃあ、別にいらないよねぇ?」
その言葉を聞いた瞬間.....俺は何気に今年一番のショックを受けていた。仕方ないだろう.....?毎年もらってる幼馴染のバレンタインチョコをもらえないのだから。
そりゃあ項垂れるに決まってるだろ。
「ん~~でもなんか君もらいそうな気がするんだよねぇ」
「いつもお前からしかもらってねぇよ.......」
「それはいつも私がそう細工してたんだけど....一人油断できない人がいるかなあ」
「んあ?」
「あぁいや、何でもないよ」
沙彩は一人で何かを考えていた......いったい何を考えているのかわからない。
一人でぶつぶついってるけど呪文みたいに早口で言ってるから聞き取れねぇ
「まぁ誰かからもらうことを気にすんならお前がくれてもいいんじゃないか?」
「.......まぁ、それもそうかもね」
とまあ、そんななんてこともない会話をしながら俺らは学校に向かった。
まぁ案外貰わなくてよかったかも知れない.......何返すか困るし。別に拗ねてなんかないからな!!決して!!
▽▼
......そんなこんなで、学校に着いた。学校に来た瞬間何となく雰囲気でわかった......クラスメイトどころか教室に向かう道中全員とは言わないが、ほとんどの男子がソワソワとしていた.......けどまぁ仕方がないだろう。
「双葉は......チョコをもらったのか??」
俺が教室に入ってきて早々......怜と要が俺にそんな質問をしてきた。どうやら顔を見る感じ.......あぁ、こいつらもらえてねぇ、なんだ仲間か。
「いや?もらってねぇよ」
「嘘をつくなこの裏切り者」
なんかこの二人さっきから声がそろってやがる......逆にここまでくると怖いものがあるわ。
「言っておくが沙彩からももらえてねぇよ」
「はっ?うそだろ??」
「こいつのことだからどうせほかの奴らからもらってるよ......」
だよな?やっぱり驚くよな怜......要はあとでしばけば問題ないかな。
俺は心の中でそう決心する。
「やっぱりおかしいよな。毎年もらえてたんだぜ」
「うーーむ........」
「なにこいつ絞め殺したい......」
怜はなにかを深く考え込んでいた......が、怜はなんとなく思いついたような顔をした......のも束の間、どこからかの殺気に怯えたように顔を戻した。いやいやいや、何があったし。
「まぁ.......大丈夫とだけいっとくぜ双葉」
「は.......?」
怜が俺にそんなことを言った瞬間、チャイムが教室中に響きわたった。
くっそ、いつもいつもいらないときになりやがって........マジ許さん。
▽▼
.......なんやかんやあって、俺は休憩時間に呼び出されていた。
「どうぞ.......双葉君」
俺は有希から何かを手渡しされていた。もしかしてこれは......
「もしかして.....チョコか?」
「そうですね.......まぁ余り物ですよ。沙彩から貰えなかった人には丁度いいかなと」
「なぜ知ってるんだ貴様......」
「あなた達の先程の会話が聞こえてきたもので」
どうやら俺たちのさっきの会話は結構声が大きかったらしい......いや結構恥ずかしいなそれ。
「そうか......まぁ、とりあえず受け取っておくよ」
「はい、そうしてください」
そうして俺は苦笑し、チョコをポケットに入れようとするのだが......
「なんか、重たくねぇかこれ」
決して悪口とかではない.......なんかこう、俺の知らないものがずっしりと乗せられるような感覚が......いや何を言ってるんだ俺は。
「ほんとにこれ余りものなのか?余り物の重さじゃないような」
「余りものです」
「いやでも」
「余りものです」
「あぁそう.......」
どうやら余りものらしい.....なんかこの袋すらめっちゃ金かかりそうなんだが。
「.......一口で食べることをお勧めしますよ」
「なんで......?」
「欲望を抑えきれなかったというか.......」
「欲望??」
「あぁいえ、お気になさらず」
有希はそれでは、と一言言って去っていった......おれがしゃべると下半身が震えていたのは気のせいか.....?まぁ、気のせいだよな。
俺はそう思い、さっさと教室に戻り学校の残りの授業を終わらせるのだった。
そうして俺と沙彩は学校を終わらせ、勉強をするために俺の家に来たわけなのだが......
「それじゃ、鞄の中身を確認するね」
「は???」
沙彩はいきなり俺の鞄を盗み、鞄の中身を調べようとした。
「いきなり何するんだ!!??」
「だって、チョコもらってるかもじゃない?」
「......あったらどうするつもりなんだ」
「......逆にどうすると思う?」
「えっと....」
俺はなぜか冷や汗をかいてしまう......なんだ、俺は何も悪くないはずなのにどんどん最悪の未来に突き進んでるこの感覚......浮気した夫が妻にバレる前みたいなこの感じはいったいなんだ。
そうして沙彩はいづれ、有希が俺にくれたチョコを見つけてしまって.....
「.......流石にさ、これは本命だよね??」
「違う.....違うんだ沙彩」
「違う?全部あってると思うんだけど」
「......あいつはただ作りすぎたチョコをくれただけにすぎないんだ、.....だから」
そう、有希は作りすぎたチョコを俺にくれ、これからのバレンタインの練習のついでに袋のトッピングもちゃんとしただけにすぎないんだ......勘違いは正しておかなければならない
「.......だから?」
「え?.....」
「だからなんだっていうのさ....それが本当だと思っているの?」
「いやだってあいつが.....」
「そんなのただのチョコを渡すための口実でしょ.....そんなのも考えられないの」
「いやあいつはそんなことを考えるようなやつじゃあ」
「本当?......本当にそうだと言い切れるの?」
「えっとそれは.....」
「誰だっけなぁ.....今の君のパートナーは」
「沙彩です.....」
「そうだよねぇ.......?だからさぁ」
そう言い......沙彩は何かを鞄から取り出した
「これは......?」
「はい、君がほしくてたまらなかったチョコレート」
「えっ.....?」
俺はびっくりして呆然としていた......だってもう沙彩からもらえないと思ってたから
「......君が有希からもらうのは予想がついてた。だからといってそれを止めるのも有希なら別にいいとおもった。でも、私は最後に渡すことで私のチョコの印象を強くしたかった、それだけだよ」
「そう.......なのか」
正直.......めちゃくちゃうれしかった。だって、沙彩からのチョコレートがもらえないと思ったらもらえたのだから。
「はは......お前の計算通りだよ。俺の頭の中はお前のそれでいっぱいだ」
「ふふっ......それならよかったよ」
沙彩が完璧なかわいい笑顔を見せてくれたので、俺も笑う。
この幸せの日常......それが崩れないことを願い続けよう......この幸せをひたすらかみしめることにしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます