第26話 高校でも仲良くね♪
「......さぁ、まず最初は誰が歌おうか?」
「ここは大人である私たちが先陣をきる.....でもいいけど、やはり主役であるこの二人からじゃないかしら?」
「僕もそれでいいと思いますよ」
「私もそれにさんせーい♪」
俺たちは今......俺と沙彩の家族でカラオケをしにきていた。
いやいやいや、受験はどうしたという思う人がいるのだろう、だが安心してほしい
「名門校に無事合格を果たした双葉と沙彩ちゃん!デュエットで歌いなさいっ!」
俺らは俺らの合格おめでとう会みたいな名目でここに来ているのだ。
無事俺らは合格を果たすことができた......が、受験後のストレスはやばかったなぁ......まじで。
『あーもうマジ無理終わった鬱だわほんとに』
『そんなに落ち込むかい.......?』
一応自己採点はしてみたんだが、その結果があまりできてなさそうという感じだったんだよな。俺が得意な数学もあまりできた自信はなかったからね。
でも受験って不思議だよね......あまり手ごたえを感じなくても案外合格だったりするんだよね。合格を知った時の俺は、無敵だったぜ
『もう少しで発表されるよ双葉君』
『どうせ俺なんて落ちるんだ落ちたらどうしようかな親に失望されるのかなははははは』
『私が元気づけた次の日には落ち込んでるね......ほら、どうせ受かってるんだから』
『うぅ.....数学で満点じゃない時点で無理だろぉ』
『私がオール満点とったせいで感覚狂っちゃったのかなこの子.......』
双葉は一番得意な数学満点じゃない時点で無理だと言っているがそれでも90の後半.....他の教科もちゃんと点数取れているので大丈夫のはずなのだが、周りにいる奴らが天才の沙彩、転生後もしっかり勉強し続けてきた有希になんやかんや頭がいい怜と要.....周りの奴らが頭良すぎて双葉の自己肯定感が勝手になくなっていた。
『あっ、時間だよ双葉君』
『あぁ......わかってる』
『..........』
『..........』
『よっしゃ!受かったぞーーー!!』
『ふふっ、よかったねぇ双葉君』
『あぁ!!!』
いやぁ......あの感覚はえぐかったなぁ、脳汁が溢れ出すあの感覚......えぐかったぜ。
もっと前から勉強しとけばこんなことはなかっただろうから高校入ったらちゃんと勉強しよう、ほんとに。
「いーや、まずはソロで歌いますぅ!」
「音痴でも私は笑わないよぉ」
「そうそう、楽しみにしとくわ」
「双葉、気を楽にね」
「双葉君、頑張ってね」
「かましちゃえ、双葉君♪」
そうして俺は意気揚々と歌いだす.......カラオケにきたのは要達と夏休みに行った時ぶりくらいだから、まぁまぁ久しぶりだったりする。だが久しぶりに歌うというのは存外気持ちよかったもので、結構楽しかったりする。
「.......あははっ♪♪」
「沙彩ちゃん?どうしたの、急に笑って」
「いえいえ、久しぶりに双葉君の笑顔を見れたなぁと思っちゃって」
「確かに......久しぶりに見るわね」
「彼の笑顔にはたくさんの元気をもらいますからねぇ」
「そうね、私も息子が笑ってるのを見ると元気が出てくるわ」
母さんと沙彩が楽しそうに何か話している.....あとで気になるし、聞いてみますかね。そうして俺は.....最初の一発目を歌い終えた。
「しっかり歌えていたじゃん」
「んまぁそだな、久しぶりに歌うのは気持ちよかったな」
「ストレス解消にでもなったかな??」
「あぁ、しっかりなったよ.....ところで沙彩」
「さっき母さんと何話してたんだ」
「うーん、それは......わたしが歌い終えてからね」
「うーーい」
そう言葉を残して沙彩も歌い始めた。
流石美少女というか、なんというか.......彼女の声はとても綺麗で、綺麗な高音を響かせるその姿は歌姫みたいだ。
(........ふむ、やっぱり感慨深いものだな)
前世の俺はカラオケをやりに行くとしても基本一人、友達と行くことなんてなかったし、ましては幼馴染と、そしてその家族とカラオケに行くだなんて夢にも思わなかったしなぁ。
(......転生って、一体どういう仕組みなんだろうな)
俺は転生してから15年間暇な時に転生ってなんで起こるのか考えてみたが、何もわからなかった。まぁ、当然といえば当然なのだが。
でもなんか.......わかりそうでわからない感覚なんだよな、何も仕組みを理解してないくせに。
「おーい、ふたばくぅーん」
「.......んえ」
「もう私の歌終わったよ?」
「あぁ......まぁちょっと、綺麗な声だなと思って」
「へぇ、それはうれしいねぇ」
考え事をしていたせいか沙彩の歌がいつの間にか終わっていた。
自分よりも予想以上に深く考え込んでいたらしい。
「それで?さっきは母さんと何話してたんだ?」
「それはぁ」
「双葉が可愛いって話よ♪」
「.......あん?」
俺が沙彩に話しかけたら母さんが割り込んできた......いまなんて言った??
「あのなぁ......男子に可愛いは全然うれしくないんだぜ?」
「なんていえばいいのかしらね......自分の息子がかっこよくて、可愛いっていうのは当然のことで.......まぁとにかく、自分の息子の笑顔は親からしたら唯一無二の宝物ってことよ」
「........そうかよ」
俺は母さんの言葉に思わず照れてしまう......その様子に父さん達はは微笑ましいと言わんばかりの目を向けて、沙彩に関しては......めっちゃニヤニヤしていた。
「んーー、照れちゃったねぇふたばくん??」
「うざいなぁお前!!!」
「あははっ♪」
沙彩がムカつくほどニヤニヤした顔を向けてくるので大きめな声を出したのだが......沙彩には無意味だったらしい。
「まぁまぁ双葉君......高校でもよろしくね?」
「いきなりだな......まぁ、よろしく」
「高校でも─────ずーーーーっと、仲良くしてね♡」
「あぁ、当たり前だろ」
......まぁ、なんやかんやで、俺たちの人生は中学生から高校生へと一段階段が上がったのだった。
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