第23話 ヤンデレ沙彩
「私というパートナーをずっと放置しといて、パートナーの友達とずっとお喋り.....これ、ドウユウコト??」
......ばれてたの??目の前で沙彩が発している殺気に思わず冷や汗をかく。
いやまぁ......沙彩だもんな、正直この天才少女なら納得してしまう.....だけど、
なんで??いつもなら話を先に聞いてきませんかね??
そんなガチな目で言っちゃう?双葉君困っちゃうよ。
「まぁまぁ.....パートナーならわかるだろ?俺が言いたいことが」
「そりゃあね、私は既に君のことを完全に把握している」
「だろ??だったら.......」
「君が極度の浮気性だってことは知っているよ」
「全然わかっていませんけど??」
なんでいつもは超能力者みたいに俺の考えを先読みしてるのにこういうことは気づかないんだ?不思議なものだよねぇ~......やっべ、どしよまじで。
「昔から思ってたけど......双葉君の人を魅了する才能は女子には"そういう感情"を引き立たせるんだよねぇ.....」
「小さくてよく聞こえねぇぞ.......」
なんで最近こうも小さな声でしゃべる奴が多いんだよ、俺にも聞こえる声の大きさで喋ってほしいもんだよな。.......え?俺が悪いって??なんでだよ。
「......ちなみにさ、君と会ってた女はあれだよね?私によく群がってくる......あの虫みたいな」
「虫っていうのやめてあげよ??れっきとした人間だからね?なんなら、仮にも君の友達なんだからね?」
やばいやばいやばい......昔の全ての人間を拒絶する沙彩さんになってきてますこれ。
こうなると......対策法が思いつかん
「......私からしたら、君に群がるやつらは全員虫なんだよね」
「群がられてないよ??ていうか群がられてるって言い方やめません??」
俺はてっきり沙彩の友達の有希を助けただけなのに......どうしてこうなるんだ、これ俺の話聞いてもらえないぞ。
「別にさ......連絡してくれたらここまでいうつもりなんてなかったし、なんで君から私を放置したことを謝りに来ないのかな??」
「いやだって鬼みたいな気配だったし......」
「あぁ.....そっか、死にたいんだ」
「おっと~~?そのスタンガンはどこに持ってたんだ~?ポケットに入るサイズじゃないなぁ」
なんか馬鹿でかいスタンガン取り出したぞあいつ......ていうかあれ、めっちゃ重そうじゃない??やばくない?
「あ、これ100㎏ぐらいあるから普通に剣とかみたいに使えたりするよ」
「あなたの腕力は一体どうなってるんですか??」
100㎏ってえぐくね?あの細い腕に一体どこにそんな力があるっていうんだ。
是非とも教えてほしいもんである。
「今まで特に何も言わなかったけどさ......いい加減はっきりさせようよ」
「......なにをはっきりさせるって言うんだ??」
「あの虫が......君にとって一体どういう存在なのか......だよ」
「.......幼馴染と仲が良い友達だからたまに関わる程度の存在だよ」
「あのさぁ......その程度の薄っぺらい関係なのになんでこんなに彼女の存在が君から感じるのかなぁ...!」
「何の話......?」
あれ、こういうのって匂いがするとかがするっていうのが定番じゃない??存在ってなに?どゆこと??
「なんでかなぁ......もしかして実は君たちには前世があって、そこで出会ってて転生したこの世界で出会ったとでも言うのかな」
「おいおい、そんなことあるはずないだろ??もう少しまともなことをいったらどうだ?」
「あっはぁ.....今日の君はたくさんの罪を重ねるねぇ.....!!」
「なんも犯した記憶ないんだけど??」
なんかこうさ......ヤンデレってこういうことをいうんじゃないか?
ただ女子と話しただけで.....こうも詰められる。
いやけどなんか......ヤンデレ幼馴染ヒロインっていいかもしれない.....はっ、そんなわけないだろ!俺は今命の危機なんだ!こんな事を考える余裕なんて─────
「とりあえず.....死ぬ?」
「あぁ、まじでやっべ」
なんかいきなり殺害予告されちゃったなぁ.....どうしようかねぇ、まじで。
ていうか、俺の弁解タイムあってもよくないかなぁ.....あぁ、そっかこれもヤンデレか。
「いやでも......今ここで私が自殺して君と一つになるのもまたいいかもしれない.....」
「落ち着こう?とりあえず沙彩深呼吸しようぜ??」
「本当の意味で一つになる......あははっ、とてもすばらしいことだと思わない?」
「いやあのよくわかんないっす」
本当の意味で一つになる......?まずいな、どんどん俺が理解できない話になってきてしまった。
「君の体を引きちぎってお守りにするのもまた.....いいかも、心が満たされるね」
「その場合俺死んでるよね??」
「大丈夫、私達は二人で一人だから」
「それ絶対意味違うよなぁ??」
二人で一人って......アニメではめっちゃかっこいいことなのに、この話の展開だとグロイ予想しかできないぞ......まじで。
「それじゃあ......死のっか」
「いやあのほんと一回待ってほしいなぁって!!!!」
沙彩は俺の首元にスタンガンをあてて......手を離した。
「......ふぅ、これが私の思うパートナー像なんだけど、どう??」
「怖すぎだわお前」
「あははっ♪まぁこれで放置されたらどうなるのか分かったでしょ♪」
「痛いほどに分かったよ......」
「まぁさっきヤンデレ物のアニメを見てね、罰として君に試してみようと思ったの」
「いやほんと....ごめん、有希が少しナンパされていてな、それを助けただけなんだ」
「ふふっ、既に知ってたよそんなの」
「......まじ??」
どうやらそれを既に知っていて、それでも罰としてあんな演技をしたらしい......できればもうやめてほしいもんだ、心臓がいくつあっても足りねぇ.....
「まぁ、これからもよろしく頼むよ、ふーたばくん♪」
「.....あぁ、よろしくな、沙彩」
(まぁ、なんやかんや沙彩とまたわかりあえた気がするし、一件落着だな)
だが、沙彩は双葉にバレないように不敵な笑みを浮かべながら言った。
「......でも、ちなみになんだけど双葉君────半分以上は本気だから」
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