第22話 私と君は運命共同体でしょ?
俺こと四季双葉は全力ダッシュで家に向かっていた。完全にやらかしてしまった。
沙彩からすぐ帰れと言われたのに.....なんか、有希とめちゃくちゃ喋ってしまったのだ。
「......せっかく機嫌どりしたのになぁ」
そう、自分のプライドを何もかも捨てて、あんな行動をしてあんな恥ずかしいことをいったというのに......全て台無しになってしまった。
いやでもよぉ.....有希があんな状態だったんだぜ??むしろあそこであいつを無視してさっさと用を済ませて沙彩のところに帰るっていうのは人間として、男として駄目じゃない??
「......また機嫌取りでもしとく?」
一瞬そんなことを考えたが、既に無理だと悟ってしまった。だって、あの場では無理やり押し切って何とかなったが、そもそもそんなことをしたのは機嫌取りのことがばれかかっていたからだ。いや、何なら既にばれていたのかもしれない。
そんな状況でまた俺が機嫌取りしようというのなら......まじでおわる。
「.....ついちゃったかぁ」
気づいたらいつの間にか家についてしまった。
近所のスーパーから全力ダッシュで帰ってきたのだから当然といえば当然なのだが.......もう少し距離長くいてほしかったけど近くてよかったなぁ.....なんていう矛盾した考えをどうしても考えてしまう。
「.....まぁ、正直に話して許してもらうしかないよな」
そう、別に正直に話せばいいんだ、だって、俺がこうなったのはぶっちゃけしょうがないだろう??俺は後ろめたいことなんてしてない.....なんでだ、なんかめっちゃ悪いことした気がする.......でもまぁ、ね?あいつは優しい奴だ、きっと許してくれる、俺はそう信じてる。
「まぁまぁ、一回深呼吸でもしようじゃないか」
す~~~~っ........はぁ~~~~~.......
「よしっ、いくぞ!!!」
俺はドアに手をかけ、こんなに重い扉は今までの人生で一回も感じたことがなかったなぁ.....と、思いながら俺は家の扉を開けた。
「......ただいまぁ~~」
「ん、おかえり~~」
俺の声に返答して来た沙彩の声は今までと何も変わらなかった。
あれ、案外大丈夫なのか......?
いや、油断してはならない、心構えをして沙彩のところに向かおう。
「あ、しっかり手を洗ってよ~~、とても汚さそうだし」
「お前俺の手を見てないだろぉ!!??」
あいつめっちゃ失礼なこといってくるやん.....ていうかなんだよ、汚そうって。
いつもはそんなこといってこないじゃないか.....と思いながら、俺は洗面所で手洗いうがいをし、沙彩のところへ向かう。
「あーーっ.....手土産でデスソース買ってきたぞ」
「へぇ、君にしては気がきくねぇ」
「君にしてはってところがいらないぞ沙彩」
「いやいや、私は正しいことしか言わないよ」
沙彩と車を待っている最中、有希が何故かこれをもっていたからそれをもらったわけなのだが......これはあとで有希に感謝しないといけないな。
「このにおいは.......」
「ん?どうした沙彩」
「.......いや、特になんでもないよ」
なんだ?一瞬沙彩の雰囲気が変わったような気がしたが.....気のせいか?
まぁとりあえずそんなことよりいつ話を切り出す?.......いや、今だよな、今しかねぇ。
「なぁさあや───」
「ねぇ双葉君?」
「.......なんだ?沙彩」
「ん~~~.....ねぇ、テスト週間中さ、私達は一日中一緒にいたでしょ?」
「??......まぁ、そうだな?」
急に一体なぜそんなことを話題に出してくるんだ......?こうやって一緒にいることは今まで結構あったはずなのに、一体どうしてだ?
「まるで、私たち夫婦みたいだと思わないかい?」
「.......は?」
ほんとにどうしたんだこいつ......頭でもうったか??
がちでそうとしか思えないんだが.....今までこんな質問されたことないぞ??
「......つまり、俺らが結婚していると?」
「.......まぁ、そうだね、そういうことになる」
「それが一体どうしたって言うんだ??」
「.......君はさ?この人とは一生一緒にいたい......って思う人はいるのかな?」
一生一緒にいたい人.....?普通今までの話の流れからして、結婚についての話じゃね?.....と、思わずおもってしまうが、今の沙彩に何か気に障るようなことを言ったらなにをされるのかわからない。......彼女は今そんなの思わせる雰囲気を醸し出している。だから、とりあえず返答をするとしよう.....と、思ったのだが。
「俺は───」
「私にはね、そんな人がいるんだ。誰だか分かるよね?」
.......こいつ、めっちゃ俺の話遮ってくるんだけど。なんなら質問されたんだけど。
だが.....何故だか彼女の言おうとしてることがわかってしまう。
きっと、彼女は────
「その人はね、昔私に言ってくれたんだ.....『俺がこれからお前の足りない部分を補ってやる。だからお前も俺に足りないのを補ってくれないか?』って.....この言葉さ、運命共同体になってくれないか?とも思わない....?」
あぁ......だよな、やっぱり沙彩は覚えてるよなぁ.....俺が言ったことを。
だけど俺が言ったことを『運命共同体』か.....ずいぶんとまぁ美化してくれるじゃないか。けどまぁ.....彼女が言いたいことはわかる。
なんなら、俺も出来ればずっと沙彩と一緒にいたい.....って思っちゃうからな。
「そう.......だな、おれもそう思う」
「だよね?そうだよね?......で、そんなことを言った......私の目の前にいる双葉君」
「.......なんでしょうか」
.......やっべ、なんかめっちゃ嫌な予感がする。いやほんと、真面目に。
なんなら寒気もしてきた、腹も痛くなってきた。
「私というパートナーをずっと放置しといて、パートナーの友達とずっとお喋り.....これ、ドウユウコト??」
........ばれてたんですね沙彩さん。ていうか会ってたのがなぜ有希だと分かったんですかね、僕は怖いです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます