第17話 安心してね、双葉君
「ねぇ、話きいてるのかな。さっきからにやけてて気持ち悪いよ」
「あ、わりぃ」
どうやら顔に出ていたらしい、そこまでいうだなんて見てみたかったもんだよ。
「まぁとりあえず君が私のことを大切に思っているように、私も君のことを大切にしてるんだから、自分の顔を殴るようなことなんてしちゃだめだよ」
「おおう.......ごめん」
どうやら俺は沙彩のことを予想以上に心配させていたらしい......これはほんと申し訳ないぜ。けどまぁこの話も終わりだろうし、もう夜遅くなってきている。さっさと帰ってもらおうと思っていたのだが。
「あ、今日ここ泊まってくよ」
「........おん?」
沙彩がいきなり言ったその言葉に、俺は腑抜けた言葉を返すことしかできないのだった。
「待たせたね」
「いや、女の子のお風呂はしょうがねぇよ」
「ふふっ、入ってきてくれてもよかったんだよ?」
「入るわけねぇだろ!!!!!」
全くこのガキは一体何を言っているのだろう.....中学三年生となり成長して来た体はとても魅力的なものになっている.....正直、襲ってしまうかもしれない。
だがそんなことをしようもんなら返り討ちにされたあげく、警察に突き出され、親にも見捨てられるという人生が簡単に想像できたのでそんなことはしないけどな。
......そ~れにしても
「どうしたのさそんな私の体を見ちゃってさ......見惚れちゃったのかなぁ?」
「......っ!!」
沙彩はニヤニヤと笑顔で俺に聞いてくる......上目遣いでだ。しかもその姿勢で胸の谷間が見えている.....はっ!俺は別に沙彩の体に欲情なんてしていない!決してな!
「久しぶりにみる私のパジャマ姿に感想はないのかい?」
沙彩はそのまま上目使いを継続してそんなことを質問して来た。
彼女のパジャマ姿の感想.......はっきりいってものすごく良い!まじでかわいいのだ!
沙彩が着ているのは可愛らしいピンク色のパジャマだ。
そのかわいらしいパジャマ姿......普段の制服と違い、体のラインがよくわかるので、何というか......その、ものすごくえろい。
胸の形、お尻の形、体の細さが全て魅力的だったのだ
「その.....すごく、いいと思うぜ」
「あははっ♪なに照れちゃってんのさぁ」
「うるさい!!!」
どうやら沙彩には俺が照れていたことが既にわかっていたらしい......そんな俺の反応が気に入ったのかどうか知らないが、鼻歌を歌い機嫌良さそうにしていた。
なんかずっと俺の考えを読まれてからかわれてんなぁ.....でも、沙彩にはいつまで経っても勝てそうにないんだよな、いやになるぜ。
「んまぁ......そろそろ寝るか?」
「そうだね、もう日付が変わる時間帯だしね」
そして俺はさっさと部屋の電気を消そうと思い、ベットから立ち上がったのだが、何故か沙彩の足と引っかかってしまい、俺と沙彩はベットに倒れた。
「わりぃ沙彩、少しやらかし───え?」
「まったく、一体君は何をして───ふぇ?」
今俺は沙彩を押し倒したような形になっているのだが......正直それはどうでもよかった。何故なら.....俺の手が沙彩の胸の上に置かれていたのだ。
それを理解した瞬間......俺の頭は真っ白になった、まじで。思考停止した。
(なんだろ、この感情......)
別に沙彩の胸は大きいわけじゃない.....でも、俺はこの柔らかさと大きさが.....愛おしいと思ってしまったのだ。
「あ、ご、ごめん!!」
だが、俺の頭は正常に働いてくれたのか知らないが、即座にこの状況を思い出し、理解して.....すぐに体を離した。
沙彩は俺の目をじっと見つめ続け.......やがてこういってきた。
「......もっと、触ってみる?」
「はっ......?」
沙彩はいきなり.....そんなぶっ飛んだことを言ってきた。
正直、沙彩のその提案は物凄く魅力的で......思わず、はい、といってしまいそうになった。だが.......だけどこいつさぁ
「.....なぁ、もしかして最初から最後まで全部仕組んだことだったりしない?」
「あ、ばれた?」
「だと思ったよおおお!!!」
普通に考えて見てほしい......慣れ親しんでいる自分のベットから降りるときに足を躓くだろうか?いや、否である。そこで俺はとっさに頭をフル回転させ、思い出したのだが.....俺に意図的に足をひっかけてた、間違いなく。
そこから導き出されるのは.....俺を揶揄うつもりだったのだろう。だって、ほんとに俺が襲いそうになったら返り討ちにすればいいだけだしな。
「.....ったく、こういうことやめろよ?たまったもんじゃないからな」
「いやぁ、君の反応が面白くてね。特に私のことを襲うか迷ってるところとか♪」
「お前本当に性格悪いな!!??」
全く、とんでもない奴だぜこいつは.....でもまぁ、とりあえず一言いっておかないと済まないんだよなぁ?
「......沙彩、こういうことはもうやめろよ?」
「私の気分次第かな、君を揶揄うのは面白いからね」
「........俺はお前にそういう事をしかけるってことすらも嫌なんだよ───世界で一番大切な幼馴染だから」
「......ふえ?」
「.....寝るぞ、俺は床で寝るからベットで寝ろよ」
そうして俺は恥ずかしくなり、沙彩の顔を見ないで電気を消し、布団にくるまって寝るのだった。
「.......君は平気でそんなことを言ってくるね。でもそういうところが愛おしくて愛おしくて仕方ない......安心してね双葉君、私が君から離れることは絶対にないからさ♪」
一人のヤンデレが瞬きもせずずーーっと一人の少年の顔を見つめながら、微笑むのだった。
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