第14話 無意識に植え込んでいく
「んあぁ......?」
.....あれ?いつもと違う感触であるのに、何故か安心してしまうこの感触はいったいなんだ?
「あ、起きた?」
目を開け、真上を見上げると沙彩の顔があった.....あぁ、そうだ思い出した。急に沙彩に膝枕をさせられ、謎の安心感と共に寝てたんだったな....。枕より気持ちよかったかも、あかんこの感覚、癖になってまうわ。
「おう......おはよう沙彩、どんぐらい寝てたんだ?」
「今はもう13時で、病院から帰ってきたのは10時くらいだから、大体3時間ぐらいだね」
「あぁ....そんなに寝てたのか」
昨日の夜しっかり11時ぐらいに寝て、しっかり既に7時間睡眠をしていたのだが、どうやら俺の体は思ってたよりも疲れてたらしい。でも、そこまで大したことしてないんだけどなぁ....まぁ、帰宅部だしな。体が弱っても仕方がないというものだ。
「そうだね、昼寝にしては結構寝てたね。まぁ、気持ちよさそうな寝顔だったし何よりだよ」
「なんか......自分の寝顔をみられるのって複雑だよなぁ」
「まぁ安心して?そう言うと思ってあんま見てはいないよ」
本当は沙彩は双葉が寝ている間ずっと瞬きをすることもせず、ずっとその笑顔を眺め、目にハイライトはなかったのだが......沙彩はそのことをいうことはない。
「まぁ何はともあれ....うん、さっきに比べて顔色がよくなってる。点滴した後に昼寝って結構効果があるのかもしれないね」
沙彩は沙彩が俺の顔をぺたべたと触り、安心した表情を見せる。熱をはかってみると、病院では39.5だったのだが、38.2まで下がっていた。まぁこれでも十分高いが、きっと今日夜しっかり寝たら完全に治っているだろう。
「......なぁ、もう少しこのままでもいいか?」
「ふふっ....いいよ。思う存分私の膝を堪能してよ♪」
「なんかちょっと言い方やらしいのやめろよな」
俺は膝枕されている状態から、顔を沙彩のお腹の方に向け腕を沙彩の腕に抱きつく
「あっ♪」
沙彩から嬉しそうな声がしたのでこの行動は問題なしと判断して、その抱きついている腕に力をこめる.....何故だろう、俺の体が沙彩を求めてしまっている。
(あはっ♪......いいね、私の計画は順調そうで何よりだ)
沙彩は即座に察する.....双葉本人は自覚してないだろうが、『四季双葉』という存在に『天海沙彩』という存在が絶対的なものになっていっていると......確信した。
(でもまぁ、妹程度にしか思ってなそうだよねぇ.....そこがほんとにわからないんだよね)
そう、この二人の魂はどんどん結びついていっているが....党の本人は妹程度にしか思って思っていないのだ...それはなぜか?それは双葉は転生者であるがゆえに、いくら自分を超えている存在の沙彩であろうと、どうしても年下と思ってしまうのだ。
(.....やっぱり、もっと徹底的にやらないとダメそうだね。そうじゃないといつまでたってもこの中途半端な関係だろうし)
沙彩はどうして双葉が堕ちないのか.......その理由をある程度まで考えたあとに......思考することを放棄した。放棄して...双葉から抱きついてくれているというこの時間を噛みしめるのだった。
▽▼
「よっ、風邪は治ったのか?」
「な、どうなんだ?」
怜と要が、俺が登校してきて早々、すぐ俺に近寄って聞いてくる....いやこいつら距離ちっか.....まぁ、慣れたことではある。
「あぁ、一日中寝てたら治ったぜ」
そう......まぁ昨日俺は沙彩にご飯を作ってもらい、そして寝るという作業を昼と夜に返したのちに、午前1時にまた寝て、今日の朝まで寝たのだ.....いやまぁ、正直寝すぎだと思う。だがまぁ....昨日はずっとそんな一周回ってもはや不健康な生活をしたのち、朝起きたらしっかりと治っていたので結果オーライである。
「そうか、それを聞いて安心したぜ」
「全く、俺らにも少しは連絡してくれよ」
「ごめんて.....昨日はそんな余裕なかったんだよ」
割と真面目にそんな余裕などなかったのだ.....だって、ずっと寝てたし、起きても沙彩と話していたから連絡する余裕はなかったのだ.....まぁ、その合間合間にあったと思うけどね......
「まぁお前が休むなんて珍しいしなぁ、よっぽどだったんだろうな」
「全くだ、確かにそんな余裕などなかったのかもな」
(しっかり信用してくれる二人に罪悪感が.....まぁ許してくれ、あんなに沙彩に甘えてしまうだなんて想定外だったんだ。)
そうなんか....昨日の俺は全てがバグってた、睡眠欲の異常さもそうだし、何故かあんなに沙彩に甘えてしまった。だからこそ.....この前のようなことが起きないようにしなければいけない。
「ねぇねぇ、虫2人となにを話してるの?」
「容赦がないと思わないか?なぁ要」
「ほんとにな、傷つくぜ」
背後にたち話しかけてきたのは沙彩だ。
顔だけを沙彩に向けてみると、2人はまるで興味がないかのように、ニコニコとして顔で俺のことを見つめていた。
「んまぁ、俺が風邪をひくだなんて珍しいという話をしてたんだよ」
「あぁ.....確かにそうだね、君はほんとに小さい頃から私の知らない知識で風邪予防をしていたからね」
「俺もお前に気付かされたことは結構あったなぁ」
「あはは.....」
流石に言えない、前世でこういうのが風邪に有効的だと知っていただなんて、流石に言えない。どうにかこうにか話をそらそうと話題を考えるが中々思いつかなかったのだが......
「まぁ双葉君は私が認めた男だからね、当たり前だよね」
沙彩が自信満々にそんなことを言った.....いやまぁ、話をずらしてくれたことは嬉しいんだが、ほら、2人があきれたような目でこっちを見てるじゃないか。
「あぁ、そういえば双葉君。昨日ずっと私に甘えてたわけだけど今日も甘えるかな?」
.......なぁ、そんな特大爆弾を残さないでくれよ。俺たちの話を聞いてた奴らが一斉にこっちに目を向けてきたじゃないか。
だがそんなことをした沙彩はとても楽しそうだった....沙彩が幸せそうならいいよな....はっ、そんなわけないだろ!?何考えてんだおれ!!??
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