第11話 敵は潰す....あははっ♪

「双葉くん!!?」

「茶道、何してんだ!!?」


茶道にいきなり腹パンされた俺に心配の声が聞こえ、逆に茶道を非難するような声が聞こえてきた。沙彩や有希、そしてその2人の友達らが茶道のことを睨みつける。


「男ってこいつのことだろ?なんでこんな冴えない男が沙彩に好かれているのか、意味わかんないじゃん?だからだぜ?」

「.......」

「それでどうだ沙彩、俺と一緒に夜の街にでも出かけようぜ?」


茶道は周りのクラスメイトが敵になっていることに気づいているのか気づいていないのか定かではないが、良くもまぁそんな態度を貫けるものだなと感心してしまった。

んでまぁそんな沙彩は.....無表情で無言を貫いている....まぁそれは他人から見た時だけで、俺からはあいつの目には明らかに怒りと憎悪が湧いている...あれ、大丈夫か?


「......おい、それ以上無視するって言うんだったら」


彼はポキポキと腕を鳴らし、指を鳴らし、首を鳴らし、準備運動をし....いや長すぎたろ。

とか思ってたら急に右腕を振り上げた


「実力行使に出てやるよ」


彼はついに暴力で沙彩を支配しようと、さっき俺にやったように、パンチが沙彩の腹に向かっていく。.....沙彩なら大丈夫だけど....ここで俺が出なかったら男じゃねぇよな!!

だから俺はあいつの腕を掴み....怪我をさせないように背負い投げをした。


「っは......?」


茶道は一体何が起きたのか理解してない様子でそんな言葉をこぼした。だが数秒経てば何か思い出したのかハッとした様子を見せ、顔を真っ赤にした....あぁ、これくるな。


「なんでなんでなんで俺がお前如きに投げられるんだ!?お前如きに?ありえない.....お前は屑でゴミで馬鹿でこの世に生きてるような価値がないようなやつなんだ!分かったらさっさとこの教室からでてけ──」

「.....何をしているんだ?お前ら」


茶道が言いかけたところで、うちのクラスの担任が入ってきた。そして教室にいたクラスメイトが直ぐに先生に状況の説明をし、茶道を連れてこの教室から出ていった。


「...災難だったな、双葉」

「大丈夫か、双葉」


怜と要が俺の心配をしてくれる....ほんとに優しい友達だ。だが....俺は胸騒ぎがしていた。

だって俺のことを考えてくれてる彼女が......

真っ黒の瞳で、茶道が歩いていった場所をずっと眺めていたのだから───



「.....愚図が」



▼▽

あの後、茶道は停学となり、授業中に帰っていったらしい...ほんとに帰ったのか怪しい。

そして今は放課後となり、俺は沙彩と一緒に帰宅道を辿っていた。

ところが....


「沙彩?」

「......」

「おーーーーい」

「あ.....ごめんね、何かな?」


さっきから沙彩が、こんな様子なのだ。何かを話そうにもずっと上の空を向いていた....一体なぜだ?茶道との事なのか?...いやでも既にあいつへの処分はされているはず....なんで?


「いや....なんか、さっきから上の空を向いているからな」

「......ねぇ双葉くん」

「んあ?」

「さっきたくさん暴言吐かれてたけど.....なんか感じた?苦しいとかさ」

「まぁ.....そりゃあな、さすがにあれは傷つくぜ」

「.....分かった、ねぇ、私あっちの方に用事があるから今日は先に帰っててもらってもいいかな?」

「え.....?」


今日俺は既に沙彩の予定を聞いたが何も無かったはずだ.....絶対何か隠してるよな、これ。

正直とても聞きたいけど...いい感じにはぐらかされそうなんだよなぁ、悲しいことに。


「ごめんね....それじゃあ、行ってくるよ......大好きな君を、救うために───」

「は....?」


そう言って沙彩は目にも止まらぬ早さで走っていった.....いやいやいや、早すぎんだろ。

一瞬で俺の前から消えたよ....オリンピック目指したら?


(大好きな俺を救うため?....いや、今はそれはどうでもいい、とても嫌な予感がする....いったいなんでだ?)


このままずっと考えていても良かったが....気が気ではなかったので、俺は急いで沙彩のところに行こうとしたのだった



ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、多分3時間ぐらい探していたと思う....だが全然沙彩をら見つけ出すことが出来なかった。

もう無理かと、諦めようと思っていたが、急に現れた奴がいた。


「......双葉くん?」

「有希!ちょうどいいところに来た!!」


俺はすっと距離を詰めて両肩を掴み、大きな声でそんなことを言った....まぁ仕方ないやん?急に見えた光だし。


「有希!沙彩を一緒に探してくれないか!?」

「あぁ....沙彩を探しているということですか....まぁ、答えはNOですが」

「は?なんでだ!?」

「私としては優しさのつもりなのですが....はぁ、もういいです。ここをまっすぐ行ったら左の方に路地裏がありますので、そこに行ってください。絶対いますから」

「絶対.....?まぁいい、分かった!」


双葉は有希がなぜ確信してるのかわからなかったが、今優先すべきものではないと判断し、有希が教えてくれた場所に走っていった。

有希はそんな双葉をかわいそうな目で見つめていた


(まぁ、彼がつくころにはきっとすべてが終わっているでしょう......可哀想に、あんな狂人に捕まるなんて。彼女のあなたへの愛はとどまることを知らない....むしろ加速している。あなたに....彼女の愛を受け止めることができますか?)


そんなことを、有希は考えるのをやめ、帰路をたどるのだった。




一方そのころ双葉は────


「はぁ!!??いねぇじゃん!ていうか普通に帰ってる報告きてたわ!」


────不貞腐れていた



あとがき

天海沙彩──あまかい さあや

四季双葉──しき ふたば

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