第2話 彼女を攻略するのは時間がかかる

時は流れて5年.....もう6歳です。

僕はこの間に運動や勉強をとても頑張り、俺Tueeeをしようとしました。

.....とでも言うと思ったか?実際はそんなんじゃない!精神が体に引っ張られるから、体は全然努力をしようとしてくれない!

所詮現実なんてそんなもんだ!!

だがいちばん苦戦してることは『天海沙彩』の事だ!

何をしようと全然心を開いてくれない!

この前なんて6歳のくせして、


『近寄らないでくれないかな、存在が邪魔なんだよね』


さすがに傷つくわ!!!

まぁともあれ、ここまできたらもはや意地なので、今日も今日とて彼女の家に来ていた。


「いつもいつも悪いね、双葉くん」

「いえいえ!絶対彼女のことを振り向かせます!」

「あはは.....悪いね。結構毒舌でしょ?」

「.....あはは★」


流石にお父さんの手前、『はい、そうですね!』なんて言えるほど度胸は無い


「それに関してはごめんね....、どうやら沙彩は私たち家族にしか心を許していないようで」

「問題ありません、まだ5年しかたっていませんから!」

「....君のその元気さには元気づけられるね、ほんとに」


そうして、沙彩のお父さん...『天海直哉』さんは俺の頭を撫でてきた

そしてその後、俺は家にあがり、沙彩の部屋に来ていた。


「おじゃましまーす!」

「.....また来たの君、懲りないね?」

「俺は諦めが悪いんでね!、というより俺の事を名前で呼んでくれよ!」

「虫に名前で呼ぶ人って居ないでしょ?そういうことだよ」


開幕早々きついなぁ.....まっ、慣れちゃったけどな!


「おいおい、俺は人間だぜ?」

「私からしたら、全員低レベルのことを考える猿、だから私は君を人として見ることはありえない、たとえそれが私と同じ神童と呼ばれている貴方でも同じことなんだよ」

「ふーん、じゃあ俺とまともに勝負したら俺が勝つことはありえないと、そう言いたいのか?」

「その通り、確かに君は理解力が高いと思うよ。でも、所詮それだけだよ。器用貧乏って奴だよ」


っく.....言い返せない、せいぜい俺は転生して2度目の人生を送っている凡人。

将来性が天才であるこの子より今は下なのは当たり前のことだ。

だが『今』は違う


「だがそれは未来の話、もしかしたらお前だってそうかもしれない」

「それこそ有り得ないと思うよ、私は全ての物事に対して何をどう努力すれば上達するのか、それが一瞬にしてわかる。君とは違うんだよね」


うへ〜....まーじでなんも言い返せん。

でも....


「じゃあ、1回勝負しないか?」

「勝負?何をするのかな?」

「勝負内容はブラックジャック。1本勝負だ」

「....私、ルール知らないからルールブックとかないの?」

「俺が今説明するっていうのは?」

「そっちの方が信用できないよ、めんどくさいこの上ないけどさ、君は理解力があるからバレない程度にルールの改ざんをするかもしれないでしょっ?」

「全然信用されてねー....」


まぁいいか、今からルールブックでも持ってきて見せるとしよう。

さぁ、勝ちにいこうか?


△▼

「ルールは把握できたか?」

「うん、簡単に言えば、手元にあるカードを21にする、もしくはそれに近くなるようにカードを引けばいいんでしょ?」

「あぁ、だが門限的に時間が無いから今回は簡単のにする。カードは1から11の被りは無いものとし、自分のターンでカードを引くか引かないかは、10秒で決めることにする」

「いいよ、問題ない、せいぜい私に足掻いて見せてね♪」

「.....負けるのはお前だ、天海沙彩」


そうして、勝負が始まった。


閑話休題、ブラックジャックは最終局面へ


「俺のカード、合計20、お前のカード、合計19....お前の負けだよ」

「.......」


(なんで、なんで、私は負けた?あそこでもう1枚引かなかったから?いやでも、あいつは確実に1か2を出していたはず、意味がわからないよ....)


沙彩は泣きそうだった、それもそうだろう。

あんな大口を叩いておいて負けたのだから。

だがわかった、唯一のこいつの弱点を。


「お前の敗因はなんだと思う?」

「......屈辱だけど、分からないかな」

「簡単だろ、お前は『優柔不断』なんだよ」

「違うよ、私は決めたことをすぐに実行してきた」

「じゃあなぜ最後の局面、お前はカードを引かず、時間切れになり、俺に負けた?」

「......」

「お前は頭が良すぎるが故に、様々な選択肢が思い浮かんでしまう、ブラックジャックだってそうだった」

「それが俺との有利な部分でもあり、欠点でもあるんだよ」

「そう...だね、君の言う通りだね」

「でも俺はお前のその頭がない、だからこそいつか俺はお前に負けるだろう」


(それはきっと...そうだと思う、こうゆう部分はいづれ経験で消すことが出来ると思う)


「だからさ」


彼は輝かしい笑顔で言った


「俺がこれからお前の足りない部分を補ってやる。だからお前も俺に足りないのを補ってくれないか?」


「.......あ」


初めて自分を負かした存在、初めて自分の心で響く言葉が届いてくる、その感覚に、沙彩は頬が赤らんでいくのを感じる


(少しは....信じてみようかな)


彼の顔をぼーっとした顔で見つめながら、彼女はそんなことを思うのだった





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