第2話 女騎士・リアナ

「ふぅ……、昨日よりはいい振りだな」


 この世界に転生して数日。此方こちらの生活にもだいぶ慣れ、今日も鍛錬に汗を流している。


「クファシル様、少し脇が開いています。そこを意識して……」


 最初は驚いた表情をしていたリアナ。今や真剣に剣技を教えてくれるようになった。


 因みに、クファシル(俺)は王弟という身分ながら、王都から離れた所に住んでいる。つまり、転生してから家族である王家には、一度も会っていないのだ。

 王位継承権をはっきりさせる為だとからしいが、離れていた方が変に気を遣わず済むし、自分の能力の強化にも集中出来るし都合がいい。


 まぁ、いつかはどうせ会うしと思いいつ、鍛錬を再開する。


(それにしても、クファシルって相当素質があったんだな多分)


 彼に転生してまず気付いた事がこれだ。


 16歳とは思えない程恵まれた体格に、豊富な体力も持ち合わせている。


「鍛え方次第じゃ、相当化け物になってたんじゃないか……?」


 まぁ、その役目は俺に託された訳なんだが。


 とりあえず剣術はリアナに鍛えてもらい、かなり上達した。いざという時の為に、強くなっておかなければならない。


「一体、クファシル様に何があったのかしら……」

「誰かと入れ替わってたりして!?」

「そんな訳無いでしょうよ」


 使用人達の会話が耳に入り、苦笑いを浮かべながら鍛錬を続ける。


「キャァァァァァァ!!!」


 その悲鳴は突然、隣に位置する森から響き渡った。


「えぇ?何かしら……」

「狼でも出た!?」


 使用人達が状況を掴み損ねている中、俺は直感だけで森へ向かう支度をする。


「リアナ、行くぞ!!」

「御意!!」


 万が一に備えて戦闘用の長剣と短剣を携え、衣服を整えて森の方へ駆け出した。

 丁度鍛錬中だった為、リアナはほぼ完全な武装状態で先導してくれたのだ。


「……!あれか!!」

「……っ!!」


 森を少し進んだ所にある開けた場所。状況を理解したリアナは剣を抜き更に足を速めた。


 血を流す男の子、そして動けずにいる女の子が視界に入る。血塗れた刀を持つ、薄汚い男達に追い詰められていたのだ。






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