01-12 銀行にポイントを借りよう その⑤
「ステラ。お前はわかんねえかもしれねえけどな……。男は腹をくくらないとダメな時があるんだ。風呂場で相手の○ンコが大きいからと言って、自分の○ンコを出すのを恥ずかしがってたら、それは自分で自分の○ンコを否定したも同じなんだ。小さくてもいいんだ。自分で自分の○ンコを認めて、さらけ出す”勇気”が大切なんだ。わかってくれ……! ステラ!」
認めよう。最低の比喩だった。しかしヘルメスの表情は今までになく真剣だったのである。
ステラはカアっと頬を紅潮させ、
「最低、変態、 勝手にしろ!」
と甲高い声を上げふいと後ろを向いた。下ネタに対する耐性が低いステラは案外ウブなのかもしれなかった。
すまねえな、ステラ。と内心で呟くと、ヘルメスはオネストと正対した。
「待たせたな。オネストさん。これが俺の――俺たちの○ンコだアアアァアァッ!!!」
叫んだ勢いそのままに、ガバッと両手で開いたダンジョン目録のステータス欄をオネストに見せつける!
いや、そこはステータスでいいんじゃないの?
と言いたげな表情で首をかしげたステラであった。
――――――――――――――――――――
【ダンジョンマスターのステータス】
“基本情報”
名前:ヘルメス・トリストメギストぶひぇ
性別:♂ 階級:ダンジョンマスター
系統:人属 種名:×人問→○人げん
“能力値”
スタ○ド名:スタープラ○ナ
本体:空○承太郎(徐○の父)
破壊力:A
スピード:A
射程距離:C
持続力:A
精密動作性:A
成長性:完成
“装備アイテム”
右 手:なし
左 手:ダンジョン目録
頭 部:【呪】アフロ
上半身:ダンジョンマスターの服
下半身:ダンジョンマスターのズボン
脚 部:ダンジョンマスターの靴
装飾品:ダンジョンマスターのスカーフ
◆ファッションリーダーより一言: 変態! バカ! ○ン毛頭! もう知らない!
“所持スキル”
NEW〈迷宮支配者(ダンジョン・マスター)〉☆☆☆☆
NEW〈
NEW〈
NEW〈導きし者を導きし者〉☆☆☆☆☆ NEW〈名付けし者〉
NEW〈解放せし者〉☆☆☆☆☆
NEW〈
NEW〈浪費家〉
NEW〈魔物愛好者〉“
NEW〈
NEW〈
NEW〈四の
”スキル詳細”
――――――――――――――――――――
「どうですか!? オネストさん!!」
オネストは苦々しい表情を浮かべている。こうなる気がしていた。ヘルメスは口元を歪めた。ヘルメスのステータスにはツッコミどころが多すぎた。
「コメントし辛いねェ……。能力値とかね……こうも標準フォーマットから外れていやすとね……。まああっし〈査定〉のスキルでヘルメスさんの能力値は把握してやすがね」
「そ、そうですか……どうなんですか? オネストさんから見た俺の能力値」
「まあ、始めたばかりのダンジョンマスターとしては、能力値は5段階評価で2ってとこでさァ。あの程度の攻撃(名刺)をかわせないンじゃいけないねエ」
5段階評価の2。下の上、中の下。がんばりましょう。それはつまり自分の身体能力が標準よりも劣っているということだ。ヘルメスは結構へこんだ。ていうか攻撃だったんだあの名刺……。
「スキルはおおむね必須スキルを習得していやすから問題ないと思いやす。☆5のスキルはすごいねえ。詳細が抜け落ちていやしたから効果がわかりやせんが……。いったん銀行に帰って調べねぇとナァ。しかしレアスキルにはまちがいねェから査定額アップにつながる可能性が高いと思いやす」
「おおお……!」
ヘルメスは喜んだ。なんたって☆5のスキルである。自分に誇れるところがあるとすれば、その2つのスキルだろう。まあ、どんなスキルかはわからないのだが。
「ただ、〈
「待ってください! 俺、1回だって死んだことなんてありません。だってそうでしょう? 俺が死んでたら今生きてる俺はなんなんです? なんで〈四の
オネストは口をへの字に曲げると、苦々しい口調で、
「ヘルメスさんの持ってる〈初心者モード〉ってスキルはねえ。ダンジョンの保護期間中に限りダメージを――死んだことさえ無かったことにするって代物なんでさ。死ぬほどの危機に身に覚えがねェってのは、ますますいけねェ」
ヘルメスは「うーん」と首をひねる。しかし身に覚えがあるのはベッドの爆発とオネストの名刺攻撃くらいだ。あと2回。死ぬほどのダメージなんか受けたっけ??
「ま、死んだ原因は考えといてくだせえ。ヘルメスさんのステータス評価はこんなもんですな。☆5スキルは魅力的ですが詳細がわからず〈四の死〉というマイナス要素もある。スキル込みで5段階評価で3ってとこでサぁ」
5段階の3。悪くはない。しかし、良くもない評価。ヘルメスは少しばかり落胆した。
「あとはステラさんのステータスと、ダンジョンの立地の評価をしたら、査定終了でさ。つーわけで、ちょいとお譲ちゃんのステータスを見せてくんなせえ。あっしとしては、ヘルメスさんとこの査定のカギはステラさんが握っている気がしてならねェ」
落胆しながらもヘルメスは「はい」と答え、未だにそっぽを向いているステラをよそにダンジョン目録をめくり、ステラのステータスが記されているページを開いた。
――――――――――――――――――――
【魔物のステータス】
“基本情報”
名前:ステラ
性別:♀
階級:共に闘いし者
系統:【亜】神属
種名:下級天使
“能力値”
L V:3
H P:150
M P:80
ちから:170
体 力:186
魔 力:198
対魔力:196
素早さ:195
知 力:195
幸 運:186
“装備アイテム
右 手:なし
左 手:なし
頭 部:戦姫のティアラ
上半身:戦姫のドレス
下半身:〃
脚 部:戦姫のブーツ
装飾品:なし
“所持スキル”
NEW〈導きし者〉☆☆☆
NEW〈奪われし者〉☆
NEW〈8つの封印【1/8】〉☆★★★★★★★
NEW〈解析【劣】(ステータスチェッカー・マイナス)〉☆
NEW〈下剋上〉☆☆☆☆
NEW〈1匹目〉☆
NEW〈導かれし者〉☆☆☆☆☆
NEW〈天魔の才〉☆☆☆
NEW〈天武の才〉☆☆☆
NEW〈格闘術【初】〉
NEW〈名付けられし者(ネームド)〉☆
NEW〈解放されし者〉☆☆☆☆☆
NEW〈支配者殺し(マスターブレイカー)〉☆☆☆☆☆
NEW〈四次元刀剣術【初】〉
“スキル詳細”
・〈導きし者〉☆☆☆ ……ダンジョン目録に記載されている情報、およびダンジョン構築に関する知識を把握。
・〈奪われし者〉☆ ……ダンジョン目録のページを他者に奪われし者。
・〈8つの封印【1/8】〉☆★★★★★★★ ……施された8つの封印。 ステータス・スキルにマイナス補正。
・〈解析【劣】(ステータスチェッカー・マイナス)〉☆ ……ダンジョン内の情報を把握・解析し、ダンジョン目録に自動的に記載する。8つの封印の影響で弱体化。
・〈下剋上〉☆☆☆☆ ……相手の能力が自分より高い場合発動。相手との能力差に応じてステータスが上昇する。
・〈1匹目〉 ……ステータスに大幅なボーナスを得る。かわりにポイント変換できなくなる。
・〈導かれし者〉☆☆☆☆☆ ……ダンジョンに侵入者が入場する度に発動。侵入者1人につき侵入者のレベルに応じたポイントを得る。
・〈天魔の才〉☆☆☆ ……1度見た魔法スキルを獲得する。
・〈天武の才〉☆☆☆ ……1度見た武術系統スキルを獲得する。
・〈格闘術【初】〉 ……格闘術を使用可能。
・〈
・〈解放されし者〉☆☆☆☆☆ ……ダンジョンマスターの能力に応じてステータス上昇。8つの封印の影響を受けているスキルの弱体化を緩和。
・〈支配者殺し(マスターブレイカー)〉☆☆☆☆☆ ……仕える主に死に至るダメージを与えた者。階級がダンジョンマスターの者に700%のダメージ上昇ボーナス。
・〈四次元刀剣術【初】〉 ……空間を切り裂く刀剣術を使用可能。
――――――――――――――――――――
「思った通り、ただもんじゃなかったねェ。長いこと務めてるが神属の魔物なんて、初めて見やした」
と、ステラのステータスを見終わるや、オネストが感嘆の声をもらした。ヘルメスもステラのステータスをちゃんと見たのは初めてだったのでいささか驚いた。
「大体のスキルに☆ついてますもんね。なにより内容がまともだったことに驚きました。つーか、なんで俺のステータスだけまともじゃないんだよ……」
ヘルメスが愚痴を零した裏で、ギクリ! としたのは、未だにそっぽを向いているステラであった。
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