医療で間違わないために

諏訪野 滋

医療機関を受診しよう

医療機関を受診しよう! でもどこへ? ①

 皆さんが医療機関を受診するのは、どんな時でしょうか?

 ①症状がある時

 ②症状はないが、すでに診断がついている病気の経過観察が必要な時(投薬を含む)

 ②健康診断の時

 ③予防接種の時

 ざっとこんなものでしょうか。


 そして受診する医療機関の種類には、どのようなものがあるでしょうか。

 ①無床の診療所 (入院設備は持っていない)

 ②有床(19床以下)の診療所 (入院設備あり)

 ③病院(20床以上)

 ここで病院にも区分があり、100床以上で特定の複数の科やより高度な検査/治療ができる設備を有する病院を「総合病院」、200床以上の病院を「大病院」と呼びます。

 ④その他 助産所や特定機能病院など


 さて、どうでしょう。

 自分の必要としている医療に応じて、適切に医療機関を選択することができるでしょうか。


 り傷で大学病院を受診したり、吐血して意識のない方を自家用車で個人の診療所に運んだり、というのはちょっとね……とは思っていただけそうですが、世の中はグレーゾーンであるのが常。

 例え同じ39度の高熱であっても、幼児と青壮年と超高齢者ではおのずと予想される病気も異なってきますし、そのあたりの判断は非常に難しいところです。


 そこでこの章では、どのように医療機関を選べばいいのか、ざっくりと目安として例を挙げていきたいと思います。

 具体的には、「街の診療所(以降は特に断りのない限り、無床の診療所のことを指します)と、大きな病院。どっちに行けばいいの?」というお題です。


「そんなの、詳しく検査ができる大きな病院がいいに決まっているじゃないか」と思われるかもしれませんが、すべての人たちが規模の大きな病院に集中するとどうなるか。

 大病院でしかできない治療を行うことの妨げになってしまうのですね。

 そこで国は、大病院に軽症の患者が集中しないように「選定療養費」という制度を導入しました。

 200床以上の大きな病院を初診する場合、紹介状がなければ数千円の追加費用を徴収ちょうしゅうされることになったのです。

 なので、やみくもに大病院を利用するとかなりの負担増になりますし、やはり病院の方が街の診療所よりも待ち時間が多い傾向にあります。


 こういう状況ですので、負担が増えてでも大病院を受診するべき状況というものについて、少し考えてみる必要がありそうです。


 もちろん診療所や病院の間でも設備やスタッフなどに格差はありますし、それは医師の質についても同じことが言えます。

 どのようなものにも、当たりはずれはあります。

 「受診してみた結果、この診療所(病院)がいい!」と身をもって経験できたあなたは幸せですが、他人のそのような経験談を鵜呑うのみにするのは危険です。

 その人があなたと同じ症状であるとは限らない、むしろそれはまれなことですし、人と人との間ですから相性あいしょうというものも、その医療機関の印象や評判を左右しています。


 また、外観や内装がきれい、雰囲気ふんいきがいい、たくさんの人が受診していて繁盛はんじょうしている、そのようなことがあなたにとって大切な要素であれば選択基準に入れてもいいとは思いますが、この章では純粋に「こういう状況の時にはこちらがベターである可能性が高い」という最大公約数的な観点から論じてみたいと思います。


 次の段落ではまず、「診療所を受診しても良い場合」についてお話したいと思います。

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