第5話 終わり

 オレと女の子は夜になって家の中で話している。名前がないことについて。元奴隷だったから名前がない。それは分かりきっていることだけど、女の子はそのことで葛藤しているようだ。


 マスターがやって来る。オレと女の子は名前がないことについて話した。すると。


 マスターも元奴隷だった、そう言った。


 オレと女の子は驚いた。てっきりマスターは強いから元奴隷だと思っていなかった。


 マスターはなぜ奴隷だったオレたちを買い取って保護しているかがようやく分かった。


 マスターはオレと女の子の頭を撫でる。そして、どんな名前がいいかを聞いてきた。女の子は涙を目に浮かべる。オレはというと、そんなマスターを心から尊敬する。


 マスター、オレ、女の子、三人は元奴隷だったのだ。けれども、今はこうして幸せな生活を送っている。


 名前を三人で考える。三人の名前を。


 過去はどうあれ、オレたちは幸せな家族なのだ。

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元奴隷のオレ、元奴隷の女の子と同じ屋根の下 野口マッハ剛(ごう) @nogutigo

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