第8話 最高の親友
「今日の放課後空いてる?」
昼ごはんを食べていると突然桃花が話しかけてきた。
「空いてるけど、なんの用?」
「忘れたの?私のお父さんのところで働くって話」
「あー、本当に雇ってもらえることになったんだ」
「取り敢えずそう言うことだから今日はすぐ帰らないでね」
「分かった〜」
いきなり仕事が入ってしまった。後でこころに行くの遅れると伝えとかないとな。
「おーい行くよ〜」
放課後になり、俺が祐希と喋っているとわざわざ呼びにきてくれた。
「えっ、もしかして春輝、桃花に手出したのかい」
「んなわけあるか。前言ってたバイトだよ。桃花の父さんのとこで働かしてもらうってやつ」
そもそも俺は拓実を敵に回したくない。あいつ桃花のことになると一直線すぎてもし手なんか出したら誇張抜きでやばい。俺が多少身だしなみのため鍛えてるとは言っても相手は野球部でエースだ。そんなやつと真っ向から殴りられたら一発KOだろう。
「流石にね、現実主義者でリスクとリターンを考える春輝がそんな無謀なことするわけないね」
「いや、リスクとかリターン以前に人の彼女に手出さないって」
「そりゃそうだね、ところでどんな仕事をしに行くんだい」
「なんか多少機械を扱うことができたら簡単な仕事だって説明されたけど具体的に何するかは知らないんだよな」
「これで大人でも手に負えないような仕事を任されたら面白いね」
「何も面白くねぇよ、頼むから楽な仕事であってくれ〜」
「ははっこれがフラグでないことを祈っとくよ」
「これでやばい仕事がきたら一生恨むからな」
「まぁその時は言ってよ、僕だって多少は扱えるし手が必要だったら貸すからさ」
「サンキュー、でも俺の仕事だし出来るだけ俺一人でできるように頑張ってみるわ」
「何喋ってるの、早く行くよ〜」
「すぐ行く〜。じゃあまた明日な」
「また明日。春輝、僕らのことも多少頼ってくれてもいいんだよ。こころは僕たちも友達として助けたいと思ってるし、もちろん春輝みたいに多才じゃないから手伝えることは少ないかもしれないけどさ」
「サッカー部エースで成績学年一桁様が何言ってんだよ、それで多才じゃないとか言ってたら周りから殺されるぞ」
「そうだね、とにかく何かあったら頼ってよ、拓実だってもっと力になりてぇーって言いながら野球部に行ったよ」
「ははっ拓実らしいな、じゃあ俺一人じゃどうしようもなくなった時は手を貸してもらうわ」
「うん、いつでも助けるよ。僕から止めておいてなんだけど桃花が待ってるから早く行ったら」
「やっべ忘れてた、じゃあなー」
急いで桃花の元に行くとたいそうご立腹の様子だった
「申し訳ございませんでしたー。祐希と少し喋り込んでしまっていました」
「別に怒ってないけど、ただお父さんに春輝の仕事の量を増やしてもらおうと思ってただけだから」
「ちょ、それだけはやめろー」
俺の悲痛な叫び声がこだました。
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