第7話  変わりつつある日常

 「おはよー」


 俺が挨拶すると昨日とは違い普通にあちこちから挨拶が帰ってくる。昨日、担任から詳細は秘めてこころが休んでいる理由などおおまかな説明がされたため俺が不良になったとかではないと分かったからだろうか。


 「顔色良くなったな」


 「俺ってそんな死人みたいな顔してた?」


 「ああ、顔は青白く、目は死んだ魚のよう、まるで三途の川を反復横跳びしてそうな顔だったぜ。なぁ祐希」


 「そうだね、拓実の言う通り昨日の春輝は今まで見た顔の中でトップ3に入る顔色の悪さしてたね」


 そんなに顔色が悪かったのだろうか。確かに少し寝不足だったりしたがそこまでだろうか。いや、確かに昨日天月さんにもすぐに何かあったとバレたし相当酷かったのだろう。


 「なになに、なんの話〜」


 「昨日の春輝の顔色が死んでたって話」


 「あ〜、昨日の春輝は死んでたね。話しかけたらこっちまで向こうの世界に連れていかれそうなぐらいだったよ」


 女子と会話していた桃花まで入ってきた上にさらなる追撃をかけてきやがった。


 「そこまで言う必要なくないか!?、流石にそこまで言われると俺も傷つくぞ」


 「でも桃花の言ってることもあながち間違っていないぞ。昨日は他の奴らも喋りかけたらやばそうな雰囲気出してるって言ってたしよ」


 「昨日の俺が話しかけられなかったのって顔色のせい!?まじか...」


 「まぁまぁ、今日はだいぶ顔色良くなったんだしいいじゃないか。ところで顔色が良くなるような嬉しいことでもあったのかい?」


 祐希だけはなんとかフォローしようとしてくれる。流石は祐希、学年1の優男なだけあるな。


 「こころに会って喋ってきただけだぞ。こころが可愛すぎて回復したってのはあるかもしれないが」


 「惚気んな、⚪︎ね」


 「祐希がキレた!?」


 学年1の優男をキレさしてしまった。そういえばこいつ俺らのグループで唯一恋人いない枠だったな。


 「彼女いないとは悲しいな、俺も桃花がいないと考えると...」


 「それ以上煽るのはやめた方がいいと思うぞ、拓実」


 「へ?」


 「拓実〜、足と腕どっちがいい?」


 「あれ、俺もしかして腕か足差し出さないといけないやつ?」


 「いや、ただ選ばれた方に俺の蹴りをプレゼントするってだけだよ」


 「お前の蹴り食らったら腕だろうが足だろうが動かなくなるよ」


 若干キレ気味に返しているがどう考えても悪いのは拓実だ。祐希の前で恋人煽りはタブーなのに。とは言っても拓実の気持ちもわからなくもない。祐希はサッカー部でしかもフォワードだ。更には中学の大会で得点王になった実績もある。そんなやつに蹴られたら終わる。比喩じゃなくて本当に腕が足がそこで終わりを迎えるかもしれない。


 「そこ、うるさいぞ」


 気づくともう担任が来て朝礼が始まろうとしていた。

 朝礼が始まり静かになったところでこころが先程の会話にいなかったことに悲しみを覚えずにはいられなくなった。




 

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